横田めぐみさんが北朝鮮の招待所で歌ったという童謡「ふるさと」。ピアノを奏でるのは、めぐみさんが６年生のとき新潟小学校で音楽を教えていた根津順子さん８３歳です。
４６年前の１９７７年１１月１５日。めぐみさんは寄居中学校からの帰宅途中、北朝鮮に拉致されました。
【元新潟小学校教師 根津順子さん】
「色々な噂で『家出したのではないか』『思春期だからどうのこうの』…と言われたけれど『そんなことはない』と私たちは思っていた」
Ｑ．家出するような子ではないと？
「明るいお嬢さんでしたからね」
根津さんの記憶に強く残るのは、卒業式の謝恩会の合唱でソロパートを担当しためぐみさんの歌声です。
【『流浪の民』めぐみさん歌声】
「慣れし故郷を放たれて夢に楽土求めたり」
【元新潟小学校教師 根津順子さん】
「ここですよね、ここですね。とてもきれいな声でいましたので、ソロに選ばれるということですからそういう点ですごく印象にある子どもさんでした。故郷、幸せな土地を探していくという歌なので。ズシンときます」
４６年前の１１月１５日、突然、故郷から引き離されためぐみさん。その日、母・早紀江さんは、夕飯にシチューを用意し、娘の帰宅を待っていたと言います。
【横田早紀江さん】
「私は本当にね、『みなさんの子どもたちがきょうの夕方ぱっと消えちゃったらどうするんですか、どんな気持ちになりますか』って言っているんですよね、いつも。死にたくなるような思いなんですよね、親は」
【元新潟小学校教師 根津順子さん】
「あの悲痛な叫び、本当に…何とかならないんでしょうか」
根津さんは、新潟小学校の校長を務めた馬場吉衛さんに声を掛けられ、２００７年ごろからめぐみさんの救出活動に参加するように。同級生主催のチャリティーコンサートでは指揮やピアノ伴奏を担当してきました。
被害者の帰国が叶うまで拉致問題を風化させてはならない、という強い信念を持ちながらも、思うことがあります。
【元新潟小学校教師 根津順子さん】
「毎年毎年、来年こそ『「お帰りなさいコンサートにしましょう』と本当にむなしくなりますね、言っていることが」
日本の最重要課題であるはずの拉致問題。岸田首相は１５日…
【岸田首相】
「横田めぐみさんをはじめ、いまだ多くの拉致被害者の方々が北朝鮮に取り残されていること、このことは痛恨の極みであり、そして、大変申し訳なく思います」
北朝鮮との交渉については、「事柄の性格上具体的に話すことは控える」とコメント。
何も明かさず…何も動かず…時間だけが過ぎていきます。
【横田早紀江さん（県民集会でのメッセージ）】
「だから本当に会いたいんです、今度はめぐみちゃんに会いたい」
拉致から４６年。めぐみさんは５９歳に、母・早紀江さんは８７歳になりました。
【元新潟小学校教師 根津順子さん】
「本当に命が限られてきていますから、とにかく生きている間に取り返して下さいとお願いしたい」
時間的な焦りを感じながら、めぐみさんの歌声を胸に、根津さんは、その帰りを待っています。最終更新日:Wed, 15 Nov 2023 18:44:28 +0900
