かけ声とともに林の中へ走り出す1匹の犬。吠える先にいたのは、隠れていた傷病人役の人です。
10月、十日町市で行われていたのは、災害救助犬による行方不明者の捜索訓練です。
【災害救助犬十日町 高橋隆之 隊長】
「阪神淡路大震災のときに、外国から相当の救助犬が来たり、東北大震災のときもかけつけたりしていた」
消防などの要請を受けて活動する災害救助犬は、嗅覚を使って、災害によりがれきや土砂の中に閉じ込められた人のほか、遭難者などの捜索に携わります。
その称号を得るには、1歳ごろから訓練を重ね、適性検査や審査に受からなければなりません。
【災害救助犬十日町 藤田真治 監督】
「特に倒壊家屋を想定した場合に、足場が不安定なことも想定されるので、(この訓練は)自制心を養わせておくための課目」
災害救助犬十日町には現在、災害救助犬3匹やその訓練犬などが在籍。日々訓練を行い、人の匂いを頼りに、がれきの中でも人がいることを感知します。
【隊員】
「この訓練が生かされて、できるだけ早く(行方不明者を)見つけられたらいいと思っている」
一方、こうした訓練に隊員たちが力を入れるきっかけとなったのは…
【災害救助犬十日町 高橋隆之 隊長】
「あれから19年というのは、本当に早い。自分の中でも、あの災害は忘れることはできない」
2004年10月に発生した中越地震。最大震度7を観測し、十日町市も大きな被害に見舞われました。
【災害救助犬十日町 高橋隆之 隊長】
「犬の保護施設をつくろうということで、テントを7・8張り立てて、家は避難所、犬は私どもの保護センターということで対応させていただいた」
被災者である隊員たちに活動要請はありませんでしたが、1つの映像が鮮明な記憶として刻まれました。
崖崩れの現場で、当時2歳の男の子が助け出された奇跡の救出。
警視庁から派遣された警備犬が現場で吠えて、生存を突き止めたことによるもので、隊員たちは災害への備えと災害救助犬の必要性を改めて実感したと言います。
【災害救助犬十日町 高橋隆之 隊長】
「もどかしいというか、初めてのこと。自然災害に対応した活動の捜索要領を勉強し始めたのが、中越大震災後の大きな変化」
中越地震後、訓練では災害時を想定したものに重きを置くようになり、中には2016年の熊本地震などで活動した隊員も。
一方、活動に対し、国の補助などはなく、通常の世話に訓練費なども合わせると、1匹あたり1年で100万~200万円ほどの負担がかかっているのが現状です。
それでも、隊員は活動を続けます。
【災害救助犬十日町 高橋隆之 隊長】
「やはり、犬が発見した場合の、行方不明者の家族の喜び、これに勝る私どもの感動、そういうのが忘れられないものだから、少しでも役に立てればなと」最終更新日:Tue, 24 Oct 2023 18:51:40 +0900