国・新潟県による“原子力防災訓練” 1400人以上の住民参加 避難の流れ確認も「雪が降ったら…」

東京電力・柏崎刈羽原発での重大事故の発生を想定した原子力防災訓練が10月29日まで3日間行われました。国の訓練と一体で規模を拡充して行われた一方、課題も残されています。
東京電力・柏崎刈羽原発での重大事故の発生を想定した原子力防災訓練が10月29日まで3日間行われました。国の訓練と一体で規模を拡充して行われた一方、課題も残されています。

10月27日に始まった原子力防災訓練。

柏崎刈羽原発で重大事故が発生したことを想定し、18年ぶりに国と新潟県による一体での実施となりました。

初日は県庁などで対策本部の運営手順が確認されると、2日目には…

【岸田首相】
「現時点から避難、屋内退避などの対策を実施します」

官邸から岸田首相が原子力緊急事態宣言を発出し、住民も参加しての避難訓練が始まりました。

まず、28日は原発から5km圏内の即時避難区域の住民の避難です。

柏崎市の海岸で住民が乗り込むのは、自衛隊のホーバークラフト。地震で道路が寸断された想定で、海路で逃げる住民がいる一方、ヘリを使った避難の流れも確認され、三条市のグラウンドでは花角知事も視察する中、空路で逃げる住民たちが降り立ちました。

【参加者】
「ヘリ避難は早い。計っていたら、10分くらい」

そして3日目の29日は、原発から5~30km圏内の避難準備区域の住民の避難訓練が行われました。

参加者は、バスや自家用車で逃げる途中、スクリーニングポイントに立ち寄り、車や自らの体に放射性物質が付着していないか検査を受けてから避難先まで向かう流れを確認しました。

【参加者】
「避難の流れがあまりよく分からなかったので、体験できたのはよかった」

合わせて1400人以上の住民が参加し、大きな規模で行われた訓練。一方で…

【参加者】
「雪があるときは想像がつかない。ぞっとする」

去年、柏崎市でも幹線道路が長時間にわたり通行止めになるなど、懸念される大雪の影響。

今回の訓練では、その大雪を想定した住民の避難は行われず、非公開の机上訓練で関係機関が対応を協議するだけにとどまり、住民から不安の声も聞かれました。

花角知事は「避難道路の整備を国に要望している」とした上で…

【花角知事】
「実際、整備されていけば、少しずつ県民の皆さんの不安というものも少なくなっていくんだろうと思うが、いずれにせよ訓練なりを通して検証していく必要がある」

原発の再稼働議論が進められようとする中、残された課題への対応が求められます。最終更新日:Mon, 30 Oct 2023 18:41:06 +0900