今回で2回目…新潟市で『繰り返す液状化』 専門家“地域での対策”訴えるも…市は「大変難しいと認識」

新潟市で多くの住宅被害をもたらした液状化について、専門家は「繰り返す特徴がある」と指摘。地域単位での対策の必要性について訴えていますが、新潟市からはそうした対策についての情報発信がないのが現状です。
新潟市で多くの住宅被害をもたらした液状化について、専門家は「繰り返す特徴がある」と指摘。地域単位での対策の必要性について訴えていますが、新潟市からはそうした対策についての情報発信がないのが現状です。

60年前の新潟地震で液状化による大きな被害を出した新潟市。能登半島地震でもその被害は繰り返されました。

【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「とにかく液状化は繰り返す災害。この地域は(新潟地震から)60年を隔てて2回目なので、3回目もあるということになる」

液状化は繰り返す…そう指摘する新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授。公的な支援のもと、地域単位での対策の必要性を訴えます。

【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「再建には地盤の改良がお金がかかるが、街区単位でまとまって何らかの策ができないか」

1月19日、新潟市西区で液状化被害の現場を視察した熊本出身の松村祥史防災担当大臣。

【松村祥史 防災担当相】
「熊本市も熊本地震のときに液状化の被害を受けたので、地元・大西市長と中原市長をおつなぎし…」

その熊本市では、2016年の熊本地震で液状化の被害が大きかった南区近見地区に国の宅地液状化防止事業が適用されていました。

このとき、熊本市は住民負担を求めない方針を決定。全額公費で地下水位を下げ、地盤を固める工事が約7年をかけて行われました。

【熊本市 大西一史 市長】
「地下水位を低下するということがスタートできたということで復興というものが大きく進んだと言える」

ただ、熊本市の担当者は「工事に至るまでには、どの液状化を防止するための工法の選定や着工に必要な住民の同意を得るのに時間がかかった」と振り返ります。

こうした苦労の末に実施した対策工事の効果を実感しているのが柏崎市山本団地の住民です。

【山本団地地域再建を目指す会 上野浩明 会長】
「何事もなかったかのように強い宅地になって整備された。そういう実感がある」

2007年の中越沖地震で液状化の被害を受け、宅地液状化防止事業が全国で初めて採用された柏崎市山本団地。

このケースでは国・県・市が4分の3、残りは住民の負担に。それでも住民の同意を取り付け、工事を実施したことで、新潟市西区と同じ震度5強を観測した今回の地震では…

【山本団地地域再建を目指す会 上野浩明 会長】
「(今回の地震では)幸い、近隣の家を含めてまったく損傷はない状態」

だからこそ…上野さんは「液状化しやすさマップ」などで土地の特徴を把握し、行政などには対策に生かしてほしいと訴えています。

【山本団地地域再建を目指す会 上野浩明 会長】
「未然防止をすることによって、安住の地を得られるというメリットは計り知れない」

【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「まずは、まとまって改良できる仕組みがあるということを被災地の方にお伝えして、どうするかというのを考えていただく。行政としても、こういうことならできるから考えてみましょうと言っていかなければいけない時期」

新潟市は1月29日、国交省との連携会議を実施。液状化対策の事例などについて説明を受けたと言いますが…

Q.住民に国の会議が始まったとかそういう説明をオープンにしていくつもりは?

【新潟市 中原八一 市長】
「非常に難しい質問。液状化対策そのものが大変難しいと認識している。熊本や浦安でも液状化に苦しんだ過去の経験があるが、そういうところでの対応策が新潟市でも適合するのかや、皆さんからの合意を得ることが難しくて、費用面でも数十億円単位の費用がかかったという話も聞いている。この対策にはかなりの時間がかかると思うので、ぜひ住民からもご理解をいただきたい」

今後の対策に向けどんな動きをしているのかも知らされず、液状化被害の出た場所で生活を再建するのかどうかなど、被災者が検討するための情報が不足しているのが現状です。最終更新日:Fri, 02 Feb 2024 19:55:46 +0900