〈新潟水俣病訴訟〉主な争点は…“判決”について解説 原告の一部認定も国の責任は認めず

国の基準で新潟水俣病と認められなかった患者たちが国と原因企業の昭和電工を相手取り、約10年前に起こした裁判で原告の一部に4月18日、判決が言い渡されました。新潟地裁は47人のうち26人を水俣病と認め、昭和電工に対し賠償を命じた一方、国の責任は認めませんでした。
国の基準で新潟水俣病と認められなかった患者たちが国と原因企業の昭和電工を相手取り、約10年前に起こした裁判で原告の一部に4月18日、判決が言い渡されました。新潟地裁は47人のうち26人を水俣病と認め、昭和電工に対し賠償を命じた一方、国の責任は認めませんでした。

今回の判決について解説します。

まずは今回の裁判について、主な争点がこちら。

〈1〉原告を水俣病と認めるかどうか
〈2〉水俣病の発生・拡大を防げなかった国の責任の有無
〈3〉不法行為から20年が経過すると損害賠償請求権が消滅するという改正前の民法に規定されていた除斥期間が適用されるかどうか

まずは〈1〉水俣病の認定について。

新潟地裁は原告45人のうち26人についてはメチル水銀ばく露による症状が生じている高度の蓋然性があるとして水俣病患者と認めました。

続いて〈2〉国の責任の有無について。

原告などは新潟で水俣病が公式確認される9年前、1956年に水俣病が九州で初めて確認されていて、「遅くとも1961年末までには、国は鹿瀬工場での水俣病発生の可能性を予見できた」と主張してきましたが、判決で新潟地裁は国が具体的に認識・予見できたとは言えず、国家賠償法上違法ではないとして責任を認めませんでした。

最後に〈3〉不法行為から20年が経過すると損害賠償請求権が消滅するという改正前の民法に規定されていた除斥期間の適用について。

熊本地裁はこの除斥期間を適用し、原告の一部を水俣病と認定しながらも、原告全員の請求を棄却していました。

こちらについては当時、原告たちが自身を水俣病であると認識していたとしても差別や偏見を恐れて声をあげることを躊躇するなど、権利行使が困難な事情があったとして除斥期間の適用をせず、原因企業に賠償を命じています。

原告たちは今回の判決を受けて控訴するかどうか検討するとしていて、昭和電工は今後の対応を検討するとしているため、控訴されるかどうか今後も注目されます。最終更新日:Thu, 18 Apr 2024 19:14:23 +0900