“佐渡島の金山”世界遺産登録への舞台裏!漂う緊張感・韓国との交渉は…インド開催の世界遺産委を現地取材

世界遺産への登録が決まった「佐渡島の金山」。インドで開かれた世界遺産委員会では佐渡島の金山の登録をめぐり、最後まで緊張感が漂っていました。その舞台裏とは…。
世界遺産への登録が決まった「佐渡島の金山」。インドで開かれた世界遺産委員会では佐渡島の金山の登録をめぐり、最後まで緊張感が漂っていました。その舞台裏とは…。

7月25日、インド・ニューデリーの空港には、花角知事や佐渡市の渡辺竜五市長の姿がありました。

【記者リポート】
「世界遺産委員会が開かれている会場。非常に広い会場で去年にはG20も開かれました。今回も世界各国から多くの関係者が集まり、審議を行っています」

インドで7月21日から開かれている世界遺産委員会。26日には佐渡島の金山を含む、新たな世界遺産の候補27件の審議が始まりました。

【花角知事】
「必ず乗り越えられると、実現できると思っているが、結果を待つしかない」

審議を翌日に控え、会場を下見した花角知事。

すると、知事の元に来たのは外務省の職員。審議が想定よりも早く進み、佐渡島の金山の審議日程が前倒しになる可能性が出てきたのです。

さらに、歴史的な背景を理由に反発していた韓国との交渉は最後まで予断を許さない状況。情報のすり合わせを行い、関係者の緊張は高まっていました。

花角知事は登録後のインタビューで、この外交問題に対して複雑な心境を明かしています。

【花角知事】
「“もどかしい”そういう言葉がぴったりかどうかはあれだが。自分たちでリードできることではないので、そういう意味では“もどかしい”」

最終的にこの日は、1つ前の国の審議で終わり、日本は翌日の最初に審議されることに。緊張感が漂うまま会場をあとにします。

こうした中、会場の至るところにできていたのはインドのPRブース。

世界中から多くの人が集まるこの会議は、主催国にとって自分たちの国をアピールする機会ともなっていました。

【記者リポート】
「インドは紅茶が有名だということで、こちらでは様々な種類の紅茶を試すことができるブースとなっています」

インドの紅茶を提供するブースでは、長時間の会議の合間に軽食と共にその文化を味わう人の姿も。

また、審議のほかに気候変動や世界遺産の保護について考える講演なども開催。各国の事情や課題を発信する場ともなっていました。

迎えた審議当日…

【花角知事】
「緊張するよね。長いこと待っていた。私なんかよりも何十年待っていた人がいるからね」

花角知事などはこの日も緊張した表情で日本のデスクにつきます。

そして、世界文化遺産の登録が決定すると、ようやく安堵の表情を浮かべました。

韓国との問題は、朝鮮半島出身の労働者が過酷な労働環境にあったことを示す展示を行うことで合意。

しかし、各国が日本を祝福しに駆け寄る中、韓国の姿はありませんでした。それでも、花角知事は今後、韓国からも多くの観光客が訪れてほしいと話します。

【花角知事】
「世界遺産だから人類共通の財産であり、次の世代に引き継いでいくものなので、それは韓国の方であれ、どこの国の方であれ、来て・見て・知っていただきたい。理解していただきたい」

ーーー外交面で課題がある中での審議だったということで最後までどうなるか分からない状況があった?

【記者】
今回、韓国とは事前に歴史に関する展示物の内容まで詰めて合意に至りましたが、関係者によりますと「ギリギリまで調整が続き、まさに審議の直前に内容が固まったような状況」だったということです。

また、登録が決定した際のスピーチは通常、推薦国に2分ほど与えられるのですが、今回は4分。日本に加えて韓国にも発言の機会を与えるというまさに異例の対応でした。

こうした中でも合意に辿り着けた背景として、多くの関係者が挙げるのが、ユン・ソンニョル大統領の存在です。

ユン大統領は就任以来、日韓関係の改善を図ってきました。関係者は「ユン大統領でなければ合意は難しかっただろう」と話しています。

ーーーこうした韓国との交渉もあって世界遺産の登録が決まったわけですが、今後の課題としてはどのようなことがあるのか?

【記者】
イコモスの追加的な勧告では全体の歴史を展示することのほかにも、保護措置の強化や収容力の調査の実施など合わせて8つの項目があります。

これらは、来年12月1日までに対応して報告書を提出しなければなりません。

今後、この遺産をどう活用し、どう守っていくべきかを考えなければならない段階に入っています。最終更新日:Tue, 30 Jul 2024 19:22:39 +0900