新潟県は、2022年4月に県内の私立高校で発生したいじめ重大事態について、調査委員会による調査の結果、県による再調査が必要と判断したと発表しました。
この問題は、2022年4月から5月にかけて、県内の私立高校の運動部で、上級生(2、3年生)から被害生徒を含む複数の1年生が暴力・暴言によるいじめを受けていました。
被害生徒は5月中旬から不登校となり、6月末には退学し、別の学校に通っているといいます。
5月には私立学校側の教師で構成されたいじめ対応組織が調査を行いましたが、7月に被害生徒と保護者から県に対して「調査が不十分である」と相談をしたことで、県がこの問題を認知。
その後、県と学校間でやりとりをする中で、学校側が10月に”いじめ重大事態”として調査結果について報告していました。
この報告の内容を受け、被害生徒と保護者は、学校による重大事態の調査は文部科学省の定める「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」にのっとっておらず不十分であるとして、学校に対して第三者を含めた組織による再調査の実施を申し入れ。
しかし、再調査にかかる見解の溝が埋まらず、被害生徒と保護者は2023年2月と7月、県に対して「学校の調査に納得できないので、県の調査を求めたい」と再調査の実施を求める申し入れをするに至っていました。
被害生徒と保護者は、県への再調査を求めるにあたり次の主張をしています。
【被害生徒と保護者の主張】
・いじめが発生した背景や発生後の対応など、部活動指導者に対する調査が十分でない
・関係生徒との面談や聞き取り時に作成された記録が破棄されており、調査の記録が適切に保管されていない(学校側は、破棄された記録は聞き取り時の手書きの記録であり、それを元に担当者が取りまとめた後に破棄したものであると調査委員会に説明)
・調査に関与した専門家は学校が選定し、また学校の代理人を務めているため第三者とは言えず、調査組織の中立性・公平性が担保されていない
・学校の調査が不十分であるため、策定された再発防止策が適切でない
この再調査の申し入れを受け、花角知事は新潟県いじめ等に関する調査委員会に諮問。
弁護士や心理学の専門家など5人で構成された同委員会は、2024年4月から10月にかけて全4回にわたり、資料の精査・審議や被害生徒・保護者、そして学校側への聞き取りなどを行い、再調査の必要性の有無について議論してきました。
そして12月10日、調査委員会から花角知事に対し「再調査の実施が必要である」との報告書が寄せられたことから、再調査が実施されることとなりました。
調査委員会は、再調査が必要だと判断した理由について
・被害生徒・保護者への調査事項の事前確認がなされておらず、調査事項について、被害生徒・保護者が納得していないこと
・その結果、学校の設置者及び学校の対応について、十分な調査が尽くされているとは評価できないこと
・また、学校が選定した弁護士が関与するなど、調査組織の中立性・公平性について被害生徒・保護者が納得しておらず、再調査の必要性が認められること
・上記の状況において策定された再発防止策については再発防止策として適切であるとは評価できないこと
と報告しています。
県は、今後調査方針を精査してから、再調査を実施する方針です。