おととし、新潟県上越市で自営業の男性を殺害し、現金を持ち去った強盗殺人などの罪に問われている男の裁判が1月22日結審し、検察側は無期懲役を求刑。一方の弁護側は懲役15年の有期刑を求めています。
強盗殺人などの罪で起訴されているのは、長野県上田市の無職・小倉一夫被告(72)です。
起訴状などによりますと、小倉被告はおととし6月、上越市の中村礼治さんをハンマーで複数回殴って殺害し、現金約120万円の入ったバッグを持ち去ったほか、おととし4月にも中村さんの自宅に侵入し、現金約26万円を盗んだ罪に問われています。
初公判では「金銭目的の暴行ではなかった」と強盗殺人について否認した小倉被告。
今回の裁判は、この強盗殺人の罪が成立するかどうかと量刑が争点となっています。
検察側は「帰宅直後の中村さんをすぐさま襲撃し、わずか3分の間に暴行やバッグを盗んだ手際の良さは、当初から強盗することを考えていたことが推認される」と説明。
そして、弁護側が殺害のみの目的だったと主張している点については…
【検察】
「殺害のみを目的としていた人間が、殺害を遂げる前に、まだ意識のある中村さんを放置してバッグを盗んだことは極めて不自然、不合理で考えられない」
こう指摘したうえで、動機は極めて身勝手で酌量の余地はなく、捜査・公判を通じて反省の態度は見られないとして“無期懲役”を求刑しました。
一方、弁護側は、小倉被告は中村さんのバッグがどこに置いてあるか知らず、車のドアを開けた際に車内灯がついたことでバッグの存在に初めて気付いて、とっさに持ち去ろうとしただけで計画性はなかったと主張。
【弁護人】
「小倉さんは孤独感や将来の不安、中村さんへの不満などがくすぶったことで自暴自棄になり突発的な犯行だった」
強盗殺人罪は成立せず、殺人と窃盗罪が適用されるとして懲役15年が相当だと訴えました。
そして、最後に何か言いたいことはあるかと問われた小倉被告は…
【小倉一夫 被告】
「私の犯した犯罪で近隣住民や世間の皆様をお騒がせし、恐怖を与えてしまったことを深くおわび申し上げます」
前を向いて淡々と謝罪の言葉を口にしました。
判決は1月29日に言い渡される予定です。
最終更新日:Wed, 22 Jan 2025 19:19:51 +0900