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拉致被害者、有本恵子さんの父・明弘さんが亡くなりました。帰国を果たせていない被害者家族の中でただ1人の親世代となった横田早紀江さんは、「ひと目でも会うことができなかったのか」と無念の思いを口にしています。
■有本明弘さん死去…親世代は横田早紀江さんのみに
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1983年、留学先のロンドンで北朝鮮に拉致された有本恵子さんの父・明弘さんが亡くなりました。96歳でした。
1997年に拉致被害者家族会が発足する前から娘の救出に奔走していたという明弘さん。高齢になってからも自宅のある神戸市から1人で、新幹線で上京し、救出を訴え続けていました。
明弘さんが亡くなり、帰国を果たせていない被害者の親世代で存命なのは、横田めぐみさんの母・早紀江さん1人となりました。
【横田早紀江さん】
「本当にこれだけ頑張られたのに、ひと目でも会えなかったのかという思い。写真だけでも見せてあげられなかったのか。1人になったとか、何人になったとか、みんないなくなるに決まっている。(時間が)長くなれば、私も来年いないかもしれないし、(政府には)何か具体的なことを考えてくださらないと困る」
■石破首相「拉致問題解決は至上命題」
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去年10月に有本さんと面会していた石破首相はその訃報を受けて…
【石破首相】
「今回亡くなられたことは本当に残念。最後に交わした言葉は私の脳裏に強く焼き付いている。我が国として、あらゆる方策を講じて拉致問題を解決することは、私どもの内閣として至上命題であると認識している」
また、拉致被害者の蓮池薫さんは、「明弘さんの思いを果たすためにも、新たな次元の運動が求められる」とコメント。
曽我ひとみさんは、「ときには強く抗議の声をあげることもあったが、それほどまでに我が子との再会を待ちわびているという親心に深く感銘を受けたことを覚えている」とコメントしています。
■親世代存命のうちに“全被害者の一括帰国”実現を…
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一方、家族会と救う会が2月16日に発表した新たな運動方針では「親世代が存命のうちに、全拉致被害者の一括帰国を実現させることを政府に対し求める」と記載し、強調していました。
【拉致被害者家族会 横田拓也 代表】
「めぐみの母、私たちの母でもある横田早紀江。元気なので出席しているが、決して普通に参加しているわけではないことを、どうか国民・世論の皆さんには知っていただきたい。本当に無理をして、体を押して参加しているということ」
親世代が早紀江さんのみになったという厳しい現実の中で、石破首相には拉致問題を前に進める最も効果的な方策を打ち出すことが求められています。
最終更新日:Mon, 17 Feb 2025 20:15:33 +0900