新型コロナ県内初確認から5年…医療資源少ない新潟で機能した“医療調整本部” “大規模会場”でワクチン接種率は全国上位に「ノウハウ生かし日頃から備えを」

新型コロナウイルスの“その後”について。新潟県内で初めて感染者が確認されてからまもなく5年。感染拡大に直面し、不安を抱えた日々からは多くの教訓が生まれました。

新型コロナウイルスの“その後”について。新潟県内で初めて感染者が確認されてからまもなく5年。感染拡大に直面し、不安を抱えた日々からは多くの教訓が生まれました。

■医療資源少ない新潟県 “医療調整本部”が機能

医療調整本部

【新潟市 中原八一 市長(2020年)】
「本日2月29日、新潟市1例目の感染者が確認されましたのでお知らせします」

マスクの着用に加え、『感染拡大』『三密の回避』『不要不急』など聞き慣れない言葉が飛び交い始めた5年前。

【新潟大学大学院 高橋昌 特任教授】
「やはり、新潟県の全員で乗り切った新型コロナの時代ではなかったかなと思う」

こう振り返るのは、新潟大学大学院の高橋昌特任教授です。当時、県の医療調整本部で患者の入院調整の陣頭指揮を取りました。

【新潟大学大学院 高橋昌 特任教授】
「いま振り返ってみると、結果として新潟県は47都道府県で新型コロナの陽性者数の死亡率が一番低いという結果になった。医療資源が少ない新潟県がそういう結果を出すことができたということに大きな意味があったと思う」

限られた医療資源を守る上で機能したのが、医療調整本部でした。

【新潟大学大学院 高橋昌 特任教授】
「ほかの都道府県と違ったのは、患者さんを入院させるかどうかを一つの入口、PCCで集中的にやったという部分。結果として、特定の地域や特定の病院への医療負荷を分散させるということに大きく寄与したと思う」

■“大規模接種会場”設置でワクチン接種率は全国上位に

大規模接種会場(朱鷺メッセ)

また、当時、ワクチン接種率は全国上位に。それを後押ししたのは、大規模接種会場の存在です。

【松村道子キャスター(2021年)】
「朱鷺メッセでの大規模接種は、エスプラナードと呼ばれる340mの通路で行われます。検温から健康観察まで一方通行で行われます」

【新潟大学大学院 高橋昌 特任教授】
「新潟県の大規模接種会場は朱鷺メッセでいうと、一日5000人。これは大阪府の大規模と同じ大きさ。そういった象徴的なものを一つつくったということで、県民の興味がそこに向いた意味でも、朱鷺メッセの大規模接種会場は意味があったと思う」

厚労省によりますと、新型コロナで亡くなった人は去年1月~9月まで全国で2万9000人を超えていて、高橋特任教授は「重症になり得る人のワクチン接種は今でも必要」と話します。

■“情報発信”に戸惑いも…「個人情報ではなくどういう行動を取るべきか」

新潟大学大学院 高橋昌 特任教授

一方で、情報発信のあり方について5年前の初感染をめぐる記者会見の映像からは行政・メディアともに戸惑いがあったことが感じられます。

【新潟市 野島晶子 保健衛生部長(2020年当時)】
「(Q.市民に何か呼びかけたいことは?)あまりいたずらな恐怖心を持って、慌てず、騒がずといいますか」

【新潟大学大学院 高橋昌 特任教授】
「やはり次の感染症が起きたとき、どこで、何がというような個人情報ではなくて、どういう行動を取るべきか。(感染の)先にあるものを出すということに集中したらいいのかなと思う」

『感染症を正しく恐れる』という言葉も生まれたこの5年間。

【新潟大学大学院 高橋昌 特任教授】
「感染症のパンデミックは歴史の中で何度も繰り返されているので、今後も必ず起きると思うが、このノウハウを使って、やはり我々が日頃から備えるということで、少しでも被害を食い止められるように努めていかなくてはいけない」

最終更新日:Tue, 25 Feb 2025 19:01:28 +0900