
東京電力は2月27日、柏崎刈羽原発7号機について、テロ対策施設の工事の完了時期を2029年に変更すると発表しました。これにより仮に再稼働したとしても10月以降は運転することができなくなります。
■“テロ対策施設”工事完了時期を29年に延期
【東京電力 柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「工事完了時期を2029年8月に変更し、本日、原子力規制委員会へ設置許可にかかる工事計画の変更を行いました」
柏崎刈羽原発7号機で整備が進められてきたテロ対策施設の設置工事。
3月の完了を目指していましたが、東京電力は工事の人手不足などを理由に完了時期を4年以上延期し、2029年8月に変更すると発表しました。
また、6号機についても、設置時期を2026年9月から2031年9月に変更しています。
【東京電力 柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「安全性の確認をしっかりしたいという点と、東日本、特に夏場の(電力)需給に貢献したいという意味で、7号機から立ち上げたいという思いに変わりはない」
7号機は去年6月に設備面の検査が完了し、技術的にはいつでも再稼働できる状態にあります。
しかし、テロ対策施設の設置は新規制基準で義務付けられており、施設の設置期限である今年10月以降は仮に再稼働できていたとしても停止を余儀なくされます。
■花角知事 再稼働議論に「影響はない」
この発表に柏崎市の桜井市長は…
【柏崎市 桜井雅浩 市長】
「非常に残念であるという部分が率直な感想である」
ただ、原発再稼働を容認する姿勢には変化はないとしています。
【柏崎市 桜井雅浩 市長】
「県知事の判断を仰ぐ段階に来ていると思うので、私的には。今まで申し上げてきた7・6号機の再稼働の順番、もしくは再稼働の意義といったものは、変わりなく意義があるものだと考えている」
今回の東電の発表については、花角知事も再稼働議論に影響はないとしています。
【花角知事】
「再稼働議論は柏崎刈羽原発と新潟県民がどう向き合うかという議論であって、何号機がというのは本筋の議論ではない」
再稼働議論は7号機に限定したものではないとの認識を示した花角知事に対し、まずは7号機の再稼働を目指す考えを示す東京電力と桜井市長。
しかし、東京電力は仮に10月までに7号機を再稼働できなかった場合でも、地元同意が得られれば、原発一基をすぐに再稼働できる体制を整えつつあります。
■6・7号機のいずれか稼働できる状態に
今年6月に燃料を装荷する6号機は、8月には再稼働の技術的な準備が完了する予定で、地元同意が前提ではあるものの、テロ対策施設の設置期限である2029年9月までは稼働できます。
そして、目標通りに工事が進んだ場合、その直前の2029年8月までには7号機のテロ対策施設が設置される見込みで、この間6・7号機のいずれかが稼働できる状態にあることになります。
【東京電力 柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「こんなにうまくいくのかというのはもちろん分からないところではあるが、我々としてはできる限り、発電所として発電を継続し、東日本の電力需給に貢献したいという思いはある」
その思いとは裏腹に次々と起こる不測の事態。再稼働をめぐる動きは、先行きの不透明感が増しています。
最終更新日:Thu, 27 Feb 2025 18:38:13 +0900