
岩手県大船渡市で発生している山林火災は7日目を迎えても延焼を続けています。この現場で消火活動に当たった新潟市消防局の隊員が語ったのは“消火の難しさ”でした。
■延焼続く山林火災…隊員が語る“消火活動の難しさ”

新潟市消防局の隊員が県の消防援助隊の一員として派遣された過酷な現場。
【リポート】
「辺りが暗くなって、火災の炎がよりはっきり見えるようになりました。炎の勢い・範囲を見ると、鎮火にはまだ遠そうです」
3月4日で発生から7日目を迎えた岩手県大船渡市の山林火災の現場です。
午前6時の段階で焼失面積が約2600ヘクタールに達し、これまでに死者1人、少なくとも84棟の住宅に被害が出ています。
【村上総務相】
「今後も延焼の状況を見極めながら必要な部隊を投入し、一刻も早い鎮圧・鎮火に向けて全力を挙げてまいりたい」
2月27日から5日間、岩手県で活動した県の第一次派遣隊。その一員として派遣された新潟市消防局の隊員が口にするのは“消火活動の困難さ”です。
【新潟県大隊長 三平岳生さん】
「水をどういうふうにとるか、それが非常に困難だった」
まず、問題になったのは水の確保。
消火栓から水をとることができず、海から海水を汲み上げたり、茨城県隊の所有する大型貯水槽車を活用したりして何とか水を確保しますが、平地の多い新潟市から派遣された隊員を山の急斜面が苦しめます。
【新潟県大隊長 三平岳生さん】
「放水する人を下の人が支えながら放水していた」
中には、1本20mのホースを15本もつなげて急斜面を登り、放水開始までに1時間以上かかった現場もあったといいます。
【新潟県大隊長 三平岳生さん】
「急斜面にホースを延長して放水をするというのは、隊員の疲労・ホース延長の困難さ・安全管理といったところで困難だった」
■県内でも山林火災発生…空気乾燥する時期“たき火”に注意を

さらに、消火を困難にしていたのが、大船渡市で続いていた“空気の乾燥”です。
【新潟県大隊長 三平岳生さん】
「(火を)抑えてはいるが、放っておくとまた燃え始めるということがあるので、警戒を怠ることができなかった。山火事というのは、その日・その時によって、火の大きくなる場所が変わっていくというのが今回改めて分かった」
ひとたび発生すれば消火が困難を極める山林火災。
県内でも去年4月に長岡市小国町や山古志地区で山林火災が発生するなど、決してひと事ではありません。
このときは野焼きが原因と見られていますが…
【リポート】
「点火から30秒が経過、炎が風下から風上へと広がっていきます。あっという間に広がりました」
新潟市消防局が過去に実施した野焼きを想定した実験では、瞬く間に火が燃え広がりました。
県内では林野火災の発生件数が乾燥しやすい春に集中。その原因で最も多くなっているのが野焼きを含む“たき火”となっています。
【新潟県大隊長 三平岳生さん】
「春になると風が非常に強く吹く時期があるが、そういうときにはたき火なんかはやめていただきたい」
岩手での大規模な山林火災の発生を目の当たりにした今、私たちがすぐにできることは火の取り扱いに注意することです。
最終更新日:Tue, 04 Mar 2025 19:01:15 +0900