新潟県議会“原発再稼働”問題めぐりエネ庁長官など参考人招致 事故への備え・地元のメリットは…テロ対策施設の完成遅延に厳しい声も

東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働問題をめぐり、新潟県議会は3月14日、資源エネルギー庁や内閣府などの幹部を参考人招致し、国のエネルギー政策や安全の取り組みなどについての説明を受けました。

東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働問題をめぐり、新潟県議会は3月14日、資源エネルギー庁や内閣府などの幹部を参考人招致し、国のエネルギー政策や安全の取り組みなどについての説明を受けました。

万が一の事故に備え、安全は確保されるのか?再稼働による地元のメリットは?再稼働を進めたい政府側の説明に対し、議会から厳しい追及が相次ぎました。

■エネ庁長官 県議会で“エネルギー政策”など説明

3月14日朝県議会に姿があったのは、資源エネルギー庁の村瀬佳史長官です。

柏崎刈羽原発をめぐっては去年、7号機について燃料装荷に伴うすべての検査が完了し、技術的には再稼働が可能な状態に。

こうした中、国は柏崎市と刈羽村を除く県内すべての市町村で国の取り組みなどについての説明会を実施し、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた地元の理解を求めています。

そして、今回、県議会の場で国の考えや取り組みを説明したいとの村瀬長官からの要請を受け、県議会は村瀬長官のほか、内閣府や原子力規制庁の幹部を参考人として招致することを決め、14日、連合委員会を開きました。

連合委員会では、まず政府側がエネルギー政策や安全への取り組みを説明。

【資源エネルギー庁 村瀬佳史 長官】
「わが国の中でも、脱炭素電源の確保が今後の国民生活、雇用、経済産業を支えるために不可欠であると考える必要がある」

村瀬長官はデータセンターや半導体工場の増設などによる電力需要が増加する中、電力の安定供給を確保するために柏崎刈羽原発の再稼働が必要であると訴えました。

■“原発再稼働”地元のメリットは?

その後は各会派による質疑が行われ、万が一の原発事故時への備えや原発再稼働による地元のメリットなどについて追及されました。

【自民党 高橋直揮 県議】
「本県の地域経済活性化のために、どのような取り組みを考えているのか、長官の所見を伺いたい」

【資源エネルギー庁 村瀬佳史 長官】
「新潟県のポテンシャルが最大限に発揮されるよう、例えば産業雇用創出に向けた支援、再生可能エネルギーや水素など、新潟県のポテンシャルがある分野での脱酸素GXの取り組み支援などに具体的に取り組んでまいりたい」

【未来にいがた 笠原晴彦 県議】
「説明会での意見や質問を聞いて、やはり再稼働は無理だなと思うことは?」

【資源エネルギー庁 村瀬佳史 長官】
「様々なご意見をいただく中で、我々、内部でも一生懸命議論して、色んな声を聞く中で、そうした声を同時達成させていかなければいけないと責任感を持って議論している。引き続き、様々な地元の声を聞きながら真剣に考えてまいりたい」

■“テロ対策施設”めぐり厳しい声も

一方、東京電力は2月、柏崎刈羽原発7号機で今年10月までの設置が求められているテロ対策施設について完成が大幅に遅れると発表。再稼働したとしても今年10月以降は運転を停止しなければなりません。

この問題についても厳しい声が…

【リベラル新潟 重川隆広 県議】
「完成の遅れは、県民の命を守る観点から納得いかない。テロはいつ起こるか分からない。いったん新潟県民のために理解要請の中断をするべき。我々は原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重すると言う立場」

【資源エネルギー庁 村瀬佳史 長官】
「その方針に基づいて、いま取り組みを進めているところ。引き続き、丁寧に6号機・7号機についての理解要請の取り組みを続けてまいりたい」

こうしたやりとりを傍聴していた原発再稼働に反対する市民団体は…

【市民団体】
「きょうの話は、避難計画も東電の適格性も、極めて抽象的でリアリティーのない説明にとどまったなと思う」

村瀬長官はこの日の議論が地元理解につながったかは明言を避けつつ、引き続き、理解を求め活動を続ける考えを示しました。

【資源エネルギー庁 村瀬佳史 長官】
「前進かどうかは私のほうからお話することではないと思う。とにかく、少しでも皆様のご理解が深まるように、丁寧に一歩ずつ進めていきたい」

最終更新日:Fri, 14 Mar 2025 18:43:34 +0900