

新潟市から上越地域へのアクセスの改善を図ろうと検討されている高速鉄道化。ミニ新幹線化や信越線改良など4つの案が示されているが、それぞれの案の整備効果の調査結果が公表された。
■新潟市~上越地域のアクセス改善へ“高速鉄道化”検討

北陸新幹線の関西延伸を見据え、新幹線が通っていない新潟市~上越地域間のアクセス改善を目指し、高速鉄道ネットワークの構築を図ろうと、2022年から開かれている検討委員会。
これまでに既存の路線のミニ新幹線化やシャトル化、特急を走行させるための信越線改良といった4つ案が検討されていた。
8月に開かれた検討委員会では、それぞれの案についての需要予測や整備費用などの調査結果について公表された。
■公表された調査結果
【〈1〉上越妙高~長岡 ミニ新幹線化】
需要予測:+68万人/年
便益:987億円~2421億円
費用:1023億円~1738億円
【〈2〉糸魚川~長岡 ミニ新幹線化】
需要予測:+67万人/年
便益:911億円~2251億円
費用:1191億円~1971億円
【〈3〉信越線改良 長岡~上越妙高 特急走行】
需要予測:+18万人/年
便益:100億円~282億円
費用:962億円~1522億円
【〈4〉上越妙高~浦佐 ミニ新幹線化・柏崎~長岡 シャトル化】
需要予測:+52万人/年
便益:679億円~1702億円
費用:1326億円~2251億円
長岡駅と上越地域の駅との間のミニ新幹線化の案はコストに対して便益が高くなる試算もあるものの、信越線の改良案と北越急行のミニ新幹線化と長岡~柏崎駅間のシャトル化を併用する案はコストに対して便益が低くなる結果となった。
新潟と関西が高速鉄道でつながることによって、大規模災害時における太平洋側の代替補完ルートの確保や企業立地・通勤圏の拡大、観光客の増加といった効果が期待される。
■国家的視野で考える新幹線整備「準備体制できている」

検討委員会の委員長で同志社大大学院の大串葉子教授は「4つの案の優劣を決めるようなものではなくて、4つの案それぞれに特徴的なことを含めて少し基礎調査した結果を今回発表するということで議論をした。災害が起こったときに致命的な災害を避けるための冗長性リダンダンシーの確保のためにも、色んな国家的視野で新幹線整備は考えていくものだということも国でうたわれ始めているので、そういったこともきちんとうたえればと思う。チャンスが来た、風が吹いたときに新潟県は4つの路線をある程度しっかり精査をして、これから少し調査を加えれば、かなり正確な数字として出せるような準備体制ができていますよということで選んでいただけるものも含めて、公表されているということだと思う」と話した。
委員会は今後も沿線地域にもたらす整備効果などを調査し、各案を検討。また、高速鉄道の実現に向けた機運を高めていきたいとしている。
(NST新潟総合テレビ)
最終更新日:Tue, 19 Aug 2025 05:00:00 +0900