「廃止してもツケが回ってくる」“ガソリン暫定税率廃止”の行方…代わりの財源確保へ別名目で税負担?与野党の議論は平行線たどる

長引く物価高への対策が争点だった参院選。対策の一つとして挙げられたのが、ガソリンの暫定税率廃止だ。廃止の実現に向けて与野党が協議を進める一方、代わりの財源の確保について議論は平行線をたどっている。ガソリン価格をめぐる動きを取材した。
NST新潟総合テレビ

長引く物価高への対策が争点だった参院選。対策の一つとして挙げられたのが、ガソリンの暫定税率廃止だ。廃止の実現に向けて与野党が協議を進める一方、代わりの財源の確保について議論は平行線をたどっている。ガソリン価格をめぐる動きを取材した。

■ガソリン価格 2週連続の値下がりも高値続く

高値続くガソリン価格

新潟市西蒲区にあるガソリンスタンド。

レギュラーガソリン1Lあたり161円と、県内の平均価格よりも安いことから続々と給油に訪れる人の姿が見られた。(価格は8月29日現在)

来店客からは「燕市から来た。安いから」「我々からすれば高いけど、安いほうがいい。特に私は足が悪いから、車なしではいけない」などの声が聞かれた。

車移動が中心の地方の暮らしとは切っても切り離せないガソリン。

資源エネルギー庁によると、9月1日の時点のレギュラーガソリン1リットルあたりの平均店頭価格は県内で173.1円だった。3週連続の値下がりとなったが、依然として高値が続いている状況だ。

■暫定のはずが…50年以上続く“ガソリン暫定税率”

1972年に導入されたガソリン暫定税率

車の利用者からガソリンの値下げを求める声が上がる中、検討されているのがガソリンの暫定税率廃止だ。

一時的に道路整備の財源不足を補おうと、ガソリン税に上乗せする形で1972年に導入された暫定税率。

暫定のはずが、50年以上が経った今もガソリン1リットルあたり25円ほど課税される状態が続いている。

暫定税率を廃止する方針については与野党で合意しているが、暫定税率を廃止した場合、年間で約1兆5000億円。そのうち地方では約5000億円の税収減が見込まれる。

このため、8月27日には全国知事会などが安定した財源の確保を与党幹部に要求。この財源確保のために浮上しているのが、違う形での税負担の仕組みの導入だ。

■財源確保へ別名目で税負担?与野党の議論は平行線たどる

暫定税率めぐる議論は平行線

道路の整備や老朽化対策として、自動車ユーザーに暫定税率分を別の名目で引き続き負担する案も出ているというが、実際に車の利用者からは「暫定税率を下げても、ツケが必ず私たちのところに回ってくる。ガソリン税を落として、また違うところが上がるようでも困るし」との声も聞かれる。

与野党間の協議でも税財源による手当が基本とする与党に対し、野党は税収の上振れ分の活用など増税以外の方法で財源を確保すべきと主張し、議論は平行線に。

野党は11月1日からのガソリンの暫定税率の廃止を目指しているが、その先行きは不透明な状態が続いている。

(NST新潟総合テレビ)

最終更新日:Fri, 05 Sep 2025 05:00:00 +0900