

“かんな”や“のみ”など、全国の大工に愛用され、国の伝統的工芸品に指定されている新潟県長岡市与板地域の『越後与板打刃物』。後継者不足が課題となる中、職人のもとで修行を積んでいた2人の男性が独立し、技術の継承に向け、決意を語りました。
9月19日、2人の男性が長岡市の磯田達伸市長に紹介していたのは、500年の歴史を誇る国の伝統的工芸品『越後与板打刃物』です。
島田拓弥さんは8年間、似鳥透さんは5年間、地域の職人のもとでの修行を終え、独り立ちしたことを報告しました。
【似鳥透さん】
「のみはかんなと違って、鋼の横を巻く」
【長岡市 磯田達伸 市長】
「角が丸くなるとだめだから、そこを厚くしている?」
【似鳥透さん】
「大工さんが言うには、そこがないと端が弱くなってしまうと」
打刃物の技術について語る似鳥さんは5年前、職人を志し、北海道から与板に移住。かんな職人の水野清介さんに弟子入りし、打刃物作りの技術を磨いてきました。
通常、一人前になるには10年以上かかると言われる与板の打刃物。
しかし、職人の高齢化が進み、技術継承の危機が迫る中、国や市の補助金を活用し、師匠の水野さんが付きっ切りの指導をすることで、似鳥さんは5年での独立を目指してきました。
【似鳥透さん(修行開始から1年)】
「この技術を途絶えさせてしまうのはもったいない。続けていけるように頑張っていきたい」
技術をイチから学び、打刃物と向き合い続けてきた似鳥さん。努力のかいあり、無事に5年で水野さんのお墨付きを得ることができました。
【長岡市 磯田達伸 市長】
「一人前、免許皆伝、お師匠様どうですか?」
【水野清介さん】
「私よりいいのでは」
今では似鳥さんが作るかんなを求めて工場に足を運ぶ人もいるといいます。
さらに、最近はまさかりを作る地域の職人が他界したことを受け、その技術を後世に残そうと、まさかり作りにも挑戦しているといいます。
頼もしい弟子の姿に師匠の水野さんは…
【水野清介さん】
「私としては5年間で育て上げるという目標を持っていた。一丁前になったというか、ありがたいこと」
受け継がれた技術をこの先へ…後継者はさらなる努力を誓います。
【島田拓弥さん】
「使う人がいて、道具作りができるので、使う人を一番に考えた仕事をしたい」
【似鳥透さん】
「いま鍛冶屋さんは人が少なくなってきて、なかなか手に入らない製品もある。使う人に喜ばれるものを作りたい」
若き職人の挑戦が伝統工芸の未来を切り開いていきます。
最終更新日:Wed, 24 Sep 2025 22:00:00 +0900