
新潟県は9月改訂の中期財政収支見通しを発表した。人件費や金利の上昇により歳出が増えているものの、国の経済見通しが改善し、税収が増える見込みであることから、大規模災害に備えるための基金は維持できる見通しとなっている。
■歳出増も経済見通し改善で歳入も増
県が発表した25年9月改定の中期財政収支見通しでは、人件費や金利が上昇した影響、経済成長率のほか、県の24年度の決算などが反映された。
試算の結果、人件費や金利の上昇から歳出が増えているものの、国の経済見通しが改善しているため税収が大幅に増加し、大規模な災害に備えるための財政調整基金については230億円を維持。
また、公債費=いわゆる借金返済のための費用についても、24年度末で447億円積み上がっている基金を順次取り崩していくことで31年度に迎える公債費の実負担のピークに対応できる見通しとなっている。
ただ、公債費の実負担のピークが終わる36年度末ごろまでに、基金のほぼ全てを取り崩す見込みであるほか、これ以上人件費や金利が上昇した場合は収支状況が悪化していく可能性があるとして、県は引き続き堅実な収支見通しのもと持続可能な財政運営に取り組んでいくとしている。
■投資的経費の上限は24年度比6億円↑

また、22年度の一般会計決算で、収入に占める公債費の割合を示す「実質公債費比率」が国の基準の18%を超え、県債を発行する際に国の許可が必要となる「起債許可団体」に移行したことを受けて策定した『公債費負担適正化計画』も改定。
24年度決算や25年度予算を反映するとともに、将来の推計金利等を最新のものへと更新。目標としている38年度の実質公債費負担比率が18%未満となるよう再算定した。
その結果、金利が上昇し、将来の公債費の実負担は増加する見通しであるものの、経済成長率は物価の高騰などを踏まえて県税や地方交付税といった県が自由に使える財源が増加することなどから、26年度以降の投資的経費の上限は、24年度より6億円増えて654億円となった。
花角知事は「いろんな要望もあるし、災害が頻発している今の状況の中で、防災対策・減災対策というのは重要。しっかり優先度を考えながら、必要な投資事業を考えていきたい」とコメントしている。
最終更新日:Mon, 29 Sep 2025 05:00:00 +0900