アレルギーに関係なく“おいしい”を共有!カフェで米粉使ったお菓子を提供する女性「ちょっとのハッピー増えていけば」新潟・見附市

新潟県見附市の商店街にある小さなカフェが提供するお菓子に使われているのは米粉。みんなで“おいしい瞬間”を共有できるようにと、奮闘する女性を取材しました。

新潟県見附市の商店街にある小さなカフェが提供するお菓子に使われているのは米粉。みんなで“おいしい瞬間”を共有できるようにと、奮闘する女性を取材しました。

■米粉で作るお菓子「分け隔てなく食べられるように」

見附市の商店街にある小さなカフェ『メルヘンコーヒー』。ここで提供されているのが米粉や豆乳で作ったワッフルです。

シャッターが降りたままの店のキッチンに灯るあかり。開店前からお菓子作りを行っていたのは店主の市川由香さんです。

【市川由香さん】
「街の人が『コーヒー屋さんか。お菓子は何をやるの』とみんな聞く。何を作ろうかなと思ったときに、うちの子たちも食べられるものならいいかなと思って」

オープン当初はコーヒーの販売がメインでしたが、街の人の声に応えようとお菓子作りに挑戦。そのお菓子作りの原動力になっていたのは、キッチンで肩を並べる息子・理人さんの存在です。

【市川さんの息子 理人さん】
「小学校高学年くらいまで卵と魚卵がダメだった」

生後まもなく、卵などの食物アレルギーが発覚した理人さん。幼い頃は友達と同じお菓子を食べられない寂しさも経験しましたが、その気持ちを和らげたのが母の作るお菓子でした。

【市川さんの息子 理人さん】
「(母が卵を使わない)クッキーやスコーンをよく作ってくれて、それがすごく好きだった」

パティシエではない市川さんが選んだのは、卵・小麦・牛乳・ナッツを使わないお菓子づくり。

ただ、試行錯誤を重ね、米粉や豆乳などで作ったワッフルやドーナツを「食物アレルギーがある人向け」とは言いません。

【市川由香さん】
「色んな子が食卓で一緒になったときに分け隔てなく食べられて、でも怖い思いをする可能性がグッと低いものを提供したいだけなので、アレルギーに特化しているわけではないと思っている」

■市川さんの優しさあふれる店内「安心感ある」

食の制限の有無に関わらず同じ“おいしい”を楽しんでほしい。そんな思いに引き寄せられるように常連客が次々と訪れます。

渡されたのは常連客に季節の楽しみを届けようと作ったシュトーレン風のスコーン。

【常連客】
「小麦粉を使っておらず、気軽に安心して食べさせられるものがあるというのが知れてすごくうれしかった」

テイクアウト専門店でありながら自然と会話が弾み、和やかな空気が流れる店内。その中心にはいつも市川さんがいます。

その温かさは客だけでなく、一緒に働く仲間にも向けられています。

【従業員】
「よくない部分もひっくるめていいところだよと、一緒に働きながらいつも言葉をかけてくれるので自分のことがすごく好きになれた」

そんな母親の背中を間近で見てきた理人さんもその存在の大きさを感じていました。

【市川さんの息子 理人さん】
「(ここに来たら)食べられるものがある安心感がある。(街の人にとっても)母親的な存在だと思う」

【市川由香さん】
「ちょっとのハッピー。『きょうおじいちゃんにもらったどこかのお店のお菓子、私も食べられる』が増えていったら、隣の人にまた優しくできるかなと思う。結局、生きやすくなったらいいんじゃないかなと」

食の制限があってもなくても、同じおいしいを同じ時間に。市川さんのお菓子はきょうも誰かの日常を優しさで満たしています。

最終更新日:Wed, 17 Dec 2025 05:00:00 +0900