高齢ドライバーの事故減へ 全国的に珍しい『運転外来』で“目線”をチェック 安全運転へ「しっかり目線動かすことが大事」新潟

新潟大学病院の眼科に全国的に珍しい『運転外来』が開設されている。5月に磐越道で新潟県内の高校生など21人が死傷する凄惨な事故が発生している。安全運転に役立ててほしいという新たな動きを取材した。
NST新潟総合テレビ

新潟大学病院の眼科に全国的に珍しい『運転外来』が開設されている。5月に磐越道で新潟県内の高校生など21人が死傷する凄惨な事故が発生している。安全運転に役立ててほしいという新たな動きを取材した。

■「視野が…」自身の運転を振り返る

小林公一さん

日頃から“見通しの悪い交差点”の運転に不安を抱いているという小林公一さん(62)。

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「交差点とかで車が来ていないだろうと思って確認したつもりだけど、いざ交差点に入ってみると車がいたり、年のせいか視野が狭くなってきているような気がする。目を動かすけど、見きれていないということが結構ある」

5月にJAF新潟支部が『高齢者向けのドライバーズセミナー』を開催し、12人の参加者が自身の運転を振り返った。

セミナーでは見通しの悪い交差点では「停止線で止まる」「車の鼻先を出してドライバーにアピールする」「前傾姿勢で左右を見る」と3段階で安全確認を行う必要性が伝えられた。

■スラローム走行で“速度の違い”実感

小網孝志さん

運転する際の“見えづらさ”を感じていたのは61歳の小網孝志さんも同じだ。

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「目も見えなくなってきた。車をこすったり、ぶつけたりする機会が何回かあった。妻に運転が下手になったと言われた」

小網さんが、パイロンを左右に避けながら走行する“スラローム走行”を時速40キロで挑戦してみると…次々に車をパイロンにぶつけてしまった。

日常、スラローム走行をすることはないが、時速40キロの速さではぶつかる確率が高くても時速30キロまで落とすと、比較的うまくハンドルが切れると体感できるカリキュラムである。

小網さんは「スラロームも急ブレーキもスピードの違いで変わったので、スピードの出しすぎに気を付けることが一番大事。時速10キロの違いを感じた、全然違った」と、安全運転を考え直すきっかけとなったようだ。

JAF新潟支部の廣川尚樹さんは「若い世代から高齢者まで幅広い世代が運転を一度見直してもらいたい」と、安全運転には“自分の運転を見直すこと”の大切さを伝えるが、同時に“目の検査を受けること”も重要だ。

■緑内障「40歳超えたら1度診断を」

新潟大学大学院 医歯保健学研究科 眼科学分野 赤木忠道 教授

新潟大学大学院医歯保健学研究科眼科学分野の赤木忠道教授は「40歳を超えた段階で、眼科で緑内障の傾向がないかどうか1度診断を受けられるといい」と呼びかける。

“緑内障”とは40歳以上の20人に1人がかかるとされ、中心部は鮮明に見えているものの周囲が部分的にかすむ病気だ。

赤木教授は緑内障の怖さとして「なかなか自覚症状がなく、相当悪くなるまで気づかない。普通に生活して普通に運転しているけど、実はかなり視野障害が進んでいる方がいるが、運転していて危ないという認識がない方も多い」と指摘する。

■運転外来で“目線”をチェック

シミュレーター

そこで、自分の“視野”を自覚してもらうために新潟大学医歯学総合病院は2024年に全国的に珍しい『運転外来』を開設した。

患者がシミュレーターを使い、実際にどのように目線を動かして運転しているのかこの機械で測定していくという。

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開設から2年間で40人が受診し、そのうちの8割以上が緑内障の患者だ。

その症状の1つ、下側が視野障害となる状態を杉山萌奈アナウンサーが体験すると、左から出てくる青い車に気づくのが遅れてしまった。

新潟大学医歯学総合病院眼科・視能訓練士の押切寧々さんは「マスクをかけていないときはすぐにこの青い車に気づいていたが、マスクをかけたことで見えない所に視線がいってしまうので、青い車に気づくのがすごく遅くなったような感じがある」とフィードバックする。

■しっかり“目線動かして”安全運転を

緑内障のイメージ

しかし、実際の緑内障の患者はシミュレーターのように黒くぼやけて見えると感じる人はほとんどいないという。

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「白っぽくぼやけて見える」あるいは「別に見づらくない」、「見えていないが見えているように感じている方がかなり多い」というのだ。

運転外来では、視野欠損が及ぼす運転への影響を見極め、どう目線を動かしたら安全運転できるかなどを助言すると言う。

1箇所しか見ないで運転していると、視野が弱い所に標識などが来れば見逃す可能性があるため「しっかりと目線を動かして色々な所に気を配っている方は事故を起こしていない。目線を動かして運転することが大事だとシミュレーターを通してはっきり分かってきている」と赤木教授は伝える。

自分の弱点が分かると運転への不安が取り除かれる患者がいる一方で、運転外来がきっかけで免許返納をすることを自分で決断した患者もいるという。

赤木教授は、車社会の新潟でできるだけ長く安全に運転するために、社会全体の事故を減らすためにも40歳以上の人は一度眼科で眼圧・眼底の検査まで受けることの必要性を訴える。

「近くの眼科でできる治療をやって、その次のステップで、もし運転のことで気になることがあれば、かかりつけ医から紹介状を書いてこちらに来てもらう。必要な方は活用していただけたらと思う」

最終更新日:Tue, 09 Jun 2026 22:00:00 +0900