
テロ対策の不備が相次いだ東京電力・柏崎刈羽原発の改善措置などを確認する追加検査について、原子力規制委員会は継続することを決めました。事実上の運転禁止命令も継続されることになります。
【原子力規制委員会 山中伸介 委員長会見】
「私自身は現状も厳しい状況であると認識している」
原子力規制委員かいの山中伸介委員長がこう話すのは、おととしテロ対策の不備が相次いで発覚した東京電力の柏崎刈羽原発。
おととし4月には事態を重く見た原子力規制委員会が東京電力に対し、事実上の運転禁止命令を出す事態に。
【東京電力 小早川智明 社長】
「本気で生まれ変わらなければ」
【東京電力新潟本社 橘田昌哉 代表】
「柏崎刈羽原発を生まれ変わらせるために」
【柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長】
「生まれ変わった姿を行動と実績で示す」
その後、東京電力が改善計画をまとめた報告書を提出。
【原子力規制庁 熊谷直樹 追加検査チーム員】
「追加検査フェーズ2の初回の現地検査を実施する」
これを受け、原子力規制委員会は委員全員が現地入りするなど異例の体制で追加検査を進め実際に改善が図られているのかを確認してきました。
そして17日、ようやくとりまとめられた追加検査の報告書。
【柏崎刈羽原発追加検査チーム】
「事業者の自律的な改善が見込めるとは言えない、したがって検査を継続する」
改善が必要とされた27の項目のうち、正常な監視の実現や一過性のものとしない取り組みの実践など4つの項目で課題が残ると判断し、追加検査を継続することを決めました。
【原子力規制委員会 山中伸介 委員長会見】
「本当に自主的に対応出来ている状況なのかというところは疑問の残るところ」
この追加検査の継続に伴い運転禁止命令も継続されることになりました。
一方で原発の再稼働をめぐっては。
【岸田首相】
「設置許可済みの原発再稼働に向け、国が全面に立ってあらゆる対応を取ってまいります」
政府は去年、今年夏以降に柏崎刈羽原発6・7号機を含む7基の原発の再稼働を目指すと表明。
16日も電力大手7社の電気料金の値上げを了承した際に。
【西村康稔 経産相】
「原発の再稼働が進んでいる関西電力・九州電力は料金改定を行っておりません」
西村大臣がこう発言し原発再稼働の必要性を訴えていました。
原発立地自治体である柏崎市の桜井雅浩市長も追加検査の継続を決定受けエネルギーの価格高騰に触れながら「時間がかかること、イコール安全・安心ではないむしろ不安ですらある」とコメント。
しかし…追加検査はその終了の時期を見通せないのが現状です。
【柏崎刈羽原発追加検査チーム】
「東京電力の対応によるところが大きい、どのくらい時間がかるは明示できない。」
今後の追加検査のポイントは「東京電力が自律的に改善する取り組みができるかどうかにつきる」と話す山中委員長も審査終了の時期については明言できないとしています。
【原子力規制委員会 山中伸介 委員長会見】
「1カ月や2カ月で何か解決できるようなものではないかと思うが、時期についてはお応えしづらいが東電の取り組み次第かなと」
原子力規制委員会はできるだけ早い時期に東京電力の小早川社長と面会し、改善に対する決意などを確認する方針です。