
電力大手7社が6月からの電気代の値上げを発表する中、多くの医療機器を使い、在宅で療養するALS患者の家庭では、度重なる電気料金の値上げに大きな打撃を受けています。
【ALS患者・北條正伯さん】
「まさに電気は私たちの生命線なんです」
ヘルパーを通して、こう話すのは新潟市西蒲区に住む北條正伯さん(62)です。
北條さんは10年前にALS・筋萎縮性側索硬化症と診断され、全身の筋肉をうまく動かすことができません。
人口呼吸器やたんの吸引器など在宅療養に必要不可欠な医療機器はすべて電気で動いています。
【ALS患者・北條正伯さん】
「電気料金の高騰は、私たち難病患者や医療的ケア児にとって、非常に深刻な問題です」
東北電力など電力大手7社が6月からさらなる値上げを発表している電気料金。燃料費の高騰などを背景にこれまでも値上げが続いてきました。
妻と母親と3人で暮らす北條さんの家庭では今年1月の電気料金が去年に比べて2万円以上高い約5万4千円に。ガス料金も合わせると10万円以上の出費となりました。
【妻・和子さん】
「1月ね、涙が出そうだった。このほかにもまだ、灯油のストーブとかも使っているので」
在宅療養のため、北條さんの部屋では一日中・温度調整が欠かせません。そこで、2月以降は暖房をエアコンと加湿器の併用からガスストーブ1台に。
医療機器以外の部分で電気を節約したほか、政府による負担軽減策で去年と同じくらいの料金に落ち着きました。苦労を重ねる中でのさらなる電気料金の値上げ。
【妻・和子さん】
「夏はストーブに換えられないので、ほぼエアコンで、24時間…涙が出ます。でもね、命が一番大事なので。頑張ります」
北條さんによりますと値上げされた場合の電気料金は人工呼吸器だけでも単純計算で年間・約6万円に上ります。
高騰する在宅での療養費に、北條さんは行政による支援を求めています。
【ALS患者・北條正伯さん】
「難病でもあきらめずに、前向きに生きる基盤・土台となる安定した療養体制が必要不可欠です。人工呼吸器をつけて、自宅で療養している最重度の障害者や医療的ケア児が数多くいることを知ってほしいです」