強みは創造力!空道で世界一に
2023年5月、東京で開かれた空道の世界大会。
青の道着・ブラジル代表選手と対戦した白い道着は、長岡市の道場に通う目黒雄太さん(30)だ。
フェイスマスクとグローブを着用して打撃に投げ技、さらには寝技も駆使して対戦する「空道」は、実践を意識した武道として1981年に始まった。
目黒雄太さん:
世界大会は4年に一度。誰でも出場できるわけではないので、まずは出るところから
世界大会の映像を目黒さんと振り返っていたのは、空道の精神を伝える大道塾の長岡支部長・遠藤英さん。
(Q.目黒さんの長所は?)
大道塾 長岡支部長 遠藤英さん:
思い描いた技を実際の動きにできること。身体能力が強み
長岡市の道場で10歳の頃から練習を積み重ねてきた目黒さん。その練習に取り組む姿勢は20年前から変わらないという。
それは師範が技を実演して見せたときのこと、目黒さんは1人だけ立ち位置を移動して、技の入り方を見つめていた。
目黒雄太さん:
基本的な技が一番大事なので、技が見えにくい場所で見てももったいない
一つ一つの技の基本を大切にしながら、その技を組み合わせていく創造力が目黒さんの強みとなっている。
親子二人三脚で世界へ
4年に一度の空道世界大会。
大道塾 長岡支部長 遠藤英さん:
対戦相手は優勝候補に勝って勢いがあったから、ちょっとやばいなという感じはあった
目黒雄太さん:
もう、優勝するしかないと思った
白い道着の目黒さんは、身長と体重を足した体力指数で230以下の部門に出場し、決勝まで勝ち進んだ。
その世界大会、決勝までの道のりを支えてくれたのは、目標としてきた父・勝雄さん。
目黒さんの父・勝雄さん:
ただ強いだけでは…人として立派な武道家でなければならない
スパーリング相手も務める勝雄さんは、長岡市栃尾地区に空道の教室を開き、息子の技と心を鍛えてきた。
10年前に取材したときには、まだ世界大会を目指すような存在ではなかった目黒さん。
目黒雄太さん(2013年):
小・中学生のときは一回戦負けばかりで、負けたら泣いていた
それでも空道を続けたのは…
目黒雄太さん(2013年):
「また勝てなかった」と言われるのが悔しくて、練習して、また負けて。でも最近ようやく勝てるようになってきた
そして、空道を始めたころから変わらず抱き続けてきた目標があった。
目黒雄太さん(2013年):
目標は大きめに言って、世界大会優勝
世界大会優勝に空道仲間も喜び
この日から努力を重ねながら父と歩んで10年、世界大会の決勝は日本人対決。
試合は白い道着の目黒さんが優勢に見えたものの延長戦へ。最後まで冷静に攻め続けて、クラス別で見事優勝をつかみ取った。
目黒雄太さん:
自分に才能があったら、もっと早く世界一になれたと思う
大道塾 長岡支部長 遠藤英さん:
最初から強いわけではないので、努力によって強くなったということが良い見本になる
空道を学ぶ仲間:
目黒さんの優勝は自分のことのようにうれしい
空道を学ぶ仲間:
ひたむきに努力を積み重ねて、ここまで来た
空道を学ぶ仲間:
チャンピオンが身近にいる。非常に恵まれた環境にいるので、これを活用して上を目指していきたい
まだまだ続く心と技を磨く道
新潟市の電気工事関係の会社に務める目黒さんは、仕事のあとに週に3日ほど車で長岡市の道場へ向かい、稽古を行ってきた。
目黒雄太さん:
仕事ですごく疲れていて、道場に着いたけど、道場の前の駐車場で寝て、そのまま練習が終わった時間に起きてしまうということもあった
真剣な表情で仲間と稽古に打ち込みながらも、時折笑顔を魅せる目黒さん。
目黒雄太さん:
「こんなことしてくるんだ」とか「こんな技出してくるんだ」とか、自分の技が入ったときもおもしろい。「こんな技があるのか」というのも、今まで続けてきてまだまだあるので本当におもしろいと思う
世界大会での息子の初優勝を喜ぶ父・勝雄さんとスパーリング。
目黒さんの父・勝雄さん:
まぁまぁ。ちょうどいい運動になって最高
目黒雄太さん:
そうですね。ちょうどいい運動になって最高
技を鍛えて磨く心、目標の先にも道は続く。