タイトル4連覇へ“新潟対局”
7月18日、新潟市西蒲区の旅館「高島屋」で行われたのは、棋聖戦5番勝負の第4局。
今期の棋聖戦は、4連覇のかかる藤井七冠に佐々木大地七段が挑戦していて、ここまで藤井七冠が2勝1敗とタイトル防衛に王手をかけていた。
大盤解説会には、県内外から集まった将棋ファンも訪れ、「お互いが激しく寄せ合うような、ねじり合いを期待している」、「新潟で防衛してくれたら」などの声が聞かれた。
将棋の内容とともに注目されるのが、やはり勝負メシ。
藤井七冠の勝負メシは“カニクリームコロッケ”
昼食には藤井七冠がカニクリームコロッケ、佐々木七段はキーマカレーを選んだ。
一方、午前のおやつは藤井七冠がフレーシュピーチベリーを、佐々木七段はアイス抹茶を注文。
藤井七冠の選んだフレーシュピーチベリーを作った新潟市西蒲区の人気ケーキ店「プレジール」を訪ねると、プレジールの岡村克巳社長は「桃がすごく人気なので、絶対使おうと思った」とレシピを考案した背景を説明してくれた。
実はこの商品、棋聖戦のために完成させた特別なスイーツだと言う。県産の桃のフレッシュさと濃厚な甘さに加え、レモンのゼリーで清涼感を加えた一品だ。
岡村社長は「甘いものは頭の回転をよくすると思う。そうなっていただければ」と藤井七冠に期待を寄せていた。
20歳最後の日にタイトル4連覇!
注目の対局は序盤から難しい展開となり、一時は佐々木七段が有利ともみられたが、終盤になると藤井七冠が積極的な攻撃で徐々に形成を逆転。
猛攻が続く中、午後6時39分に佐々木七段が投了し、84手で藤井七冠が勝利した。タイトル4連覇の達成だ。
藤井聡太七冠は「素直に防衛できたことはうれしく思っている。序盤から少しこちらが苦しい展開を強いられてしまったので、課題が残ったかなとは感じている」と対局の感想を話した。
対局を見守っていたファンの中には、会社を休んで会場を訪れたというファンも。「感動しかない」と興奮を隠せない様子だった。
誕生日を翌日に控え、20歳最後の対局となった藤井七冠だったが、謙虚な姿勢は変わらない。「また来週以降、王位戦をはじめ王座戦だったり対局が続くことになるので、しっかりコンディションを整えて、そちらでもまた精いっぱい指したいと思う」とすでに次を見据えていた。
八冠制覇の偉業にまた一歩近づいた藤井七冠。残すタイトル「王座」奪取に向け、弾みをつけた。