なでしこジャパンへの思い
アルビレックス新潟レディースの移籍会見に臨んだささ選手(37)。会見では、女子W杯で予選リーグを突破し、決勝トーナメントを戦うなでしこジャパンについても話が及んだ。
Q.なでしこジャパンの活躍について
「自分自身はベスト8くらいかなというふうに思ってたんですよ。でも、予選3試合の戦い方とオプションの多さを見ると、これはちょっとベスト4も夢じゃないんじゃないかなと感じ始めています。自分たちの時も本当に1試合1試合を戦っての優勝だったので、あんまり今の時点で優勝を意識してますか?というのは選手に言えないと思いますし、たぶん選手たちも、もちろんそこは目指していますけど、そこよりもやっぱり目の前の1試合というところで戦っていると思うので、私も応援する側として、目の前の1試合に集中していってほしいなと思います」
「決勝トーナメントというのは、やはり予選リーグとはまた少し違った戦い方が必要になってくると思います。負けたら終わりなので、選手、スタッフも含めてしっかりと準備をしてくるところじゃないかなと思います。予選リーグと一番違うところは、延長戦、PK戦まであるところなので、それを踏まえての采配というのにも注目したいと思いますし、間の過ごし方というのは当然連戦ではあるんですけれども、しっかりと疲れを取って試合に臨めるような日程ではあると思うので、そのへんはきちんとスタッフがコントロールすると思います。選手たちはホテルではリラックスしてきっと過ごしていると思うので、今回はおいしいご飯を作ってくれるシェフも帯同しているようなので、そういった様子も現地から見えてきます。試合の時の様子を見てもそうですし、練習の様子を見てもそうですし、当然オフの場面っていうのも自分自身はSNSを通じて見るファンと同じような目線でしか見れていないですけど、それでもすごく雰囲気がいいなというのは伝わってくるので、その雰囲気の良さというのをしっかりと次の試合にもつなげてほしいなと感じます」
Q.なでしこジャパンの強みは
「本当にスピードというのは魅力だと思いますし、右サイドから決めた得点、植木選手にボールが入った瞬間のスプリントというのは本当にしびれましたし、本当に宮澤選手が私に憧れているかどうか分からないんですけど、多分それは当時の話で、今はどうか分からないんですけど、もう今は。私が憧れちゃうなというぐらいすごいプレーをしているので、ここからまた一つレベルの上がった対戦相手とやったときに、また一つレベルの上がった宮澤選手を見られるのはすごく楽しみです。ピッチに立っている11人はもちろんなんですけど、ベンチの選手もしっかり戦っているなというところ。そこが今のなでしこジャパンの魅力でもあると思うので、また途中から出てきた選手もしっかりと活躍していますし、そういったところを積み重ねていって。一つ一つ勝ち上がってほしいなっていうふうに思います。今はなでしこジャパンの活躍結果が、WEリーグの注目度というところに比例してくると感じているので、そういった意味でもなでしこジャパンには結果を強く意識して頑張ってほしいなと感じています。スポーツって勝ち負けがあるので、もちろん勝つためにやってますし、優勝したらうれしいですし、それは一番盛り上がることだとは思うんですけど、やはりそこまでのプロセスっていうところも今の時代は大切にされているところなのかなと思います。どういった形で自分たちが信念を持って、何のために戦っているかというところを強くみんなで心を一つにして、ピッチで表現してほしいなというふうに思います」
アメリカでの経験をWEリーグで
一方で、女子サッカーの強豪国・アメリカのリーグで日本人最長となる9シーズンを過ごした川澄選手。そのアメリカでの経験についても語った。
Q.アメリカのクラブでの経験をどう生かすか
「アメリカでは対戦相手が日本人ではないですし、もちろんチームメイトも日本人ではなかったので、そういったところから日本人のプレースタイルに合わせていくというのは、これから自分がやっていかなければいけないところだなと思います。日本人には日本人の良さがあるので、どんどん吸収していきたいです。ただ、やはり海外で身につけてきたスピードやパワーに対抗するのは、もちろん日本のリーグでも大切な部分ではあると思うので、そこはチームメイトに何か伝えられることがあればプレーで示していきたいと思っています」
Q.WEリーグについて
「もちろんアメリカにいるときもWEリーグにはすごく注目していましたし、観客動員数も平均5,000人っていう目標を掲げて今やっていると思うんですけど、そこにはまだまだ到達はしていないですけど、プレーの質を見ていても、やはりみんなすごくうまいなと唸るようなプレーもしているので、本当にもっともっと現地に足を運んでほしいなと思います。もちろん選手がクオリティーの高いプレーをすることが一番大切で、あとは、やはりスタッフの方や周りのメディアの方に支えていただきながら、WEリーグはこんなにいいリーグなんだよというのを周知してもらって、少しずつでもいいので皆さんに足を運んで注目していただきたいなと思っています」
Q.日本とアメリカ リーグの違い
「アメリカの場合はプロリーグが、2回破綻してるんですね。今のNWSLが2013年から始まって10年以上今続いている状態で、当然世界一の国アメリカであっても、失敗を重ねた中で今があるなというふうには感じています。私が初めてアメリカのリーグに行ったのが2014年だったんですけど、その当時はもちろん観客数も多い時は多いですけど、今以上に何かこう注目されているなという感じはなかったです。ただ、やはり年々リーグが成長しているのは、中にいる人間として感じていました。自分自身のチームが昨年は最下位だったんですけど、それでもやはり環境が良くなっていて、アメリカでは天然芝で練習をしたりとか、今年に入ってからはチームが契約してくれたサウナであったりとか、酸素カプセルがフリーで使える状態になったりとか、みんなでミーティングができるようなコンテナが完成したりとか、目に見えてどんどん環境が良くなっていって、そこにかけるスタッフの数も増えていて、当然お金もかかることというのは分かるんですけど、年々女子サッカーを成長させていくということを実際にしっかりと動いて形にしているなというふうには感じます。WEリーグは始まって今年3年目に入りますけど、当然まだまだやらなければいけないことはたくさんあると思いますし、ただ、ほかの国で成功していることを真似しながらでもやっていくというのは必要なことかなと感じます。もっともっと認知してもらうために何が必要かであったりとか、スタッフをどうかけていくかっていうところも考えてはいかなければいけないとは思うんですけど、それは絶対に日本のサッカーができることだと思いますし、選手たちも当然、当事者意識というか、自分たちがしっかりと先頭に立ってやっていくという責任を持ってWEリーグのピッチに立っていると思うので、私もその一員として、その課題に向き合ってやっていきたいなと感じています。とにかくWEリーグの選手たちはみんなピッチでは熱く戦いますけど、ピッチの外に出たらやはりファンサポーターの皆さんと交流をして、ある意味アットホームな感じで、地域であったりとか、ファンサポーターの皆さんと関われるというところはすごい良さだと思うので、そこをもっともっと押し出していけたらいいんじゃないかなっていうふうにアメリカから見ていてずっと思っていますし、これから自分自身も表現できたらいいと思います」
アルビレディースでの活躍を誓った川澄選手。ファンに向けて、WEリーグの魅力についても語った。
「先ほど観客数のことなんかもありましたけど、ちょっと少ないうちに来ておいた方が、選手とも交流が深くできるから、今のうちに皆さんに来た方がいいですよ、ということはお伝えしたいですし、やはり観客が入っているチームでも、女子サッカー選手は試合後なんかにもすごくファンの方と交流するというのが一つ良さだと思うので、本当に実際にスタジアムに来ていただいて試合を見ていただきたいなというふうに感じています。私自身も小さい頃に当時はLリーグだったんですけど、選手たちと交流した時には本当にうれしかったですし、ああ、こんなふうになりたいなと思ったのを今でも覚えているので、やっぱり今の現役のWEリーガーがそういった存在になれるように、地域の方との交流というのは深めていきたいなと思っているので、よろしくお願いします」
アルビレディースの19番がピッチを躍動する姿が待ち遠しい。WEリーグカップ戦は8月26日に開幕する。