佐渡市相川地区達者の沖合に向かう漁船。狙うのは、水揚げの最盛期を迎えている『バショウカジキ』です。中には、体長2m~3mの大物も。
こうした中、大物には目をくれず、漁師たちにまじって、小型のバショウカジキを探していたのは、福島県の水族館「アクアマリンふくしま」のスタッフです。
【アクアマリンふくしま飼育展示部 藤井健一 上席技師】
「世界中の水族館でも展示されたことがない。背びれを広げると、とても美しい魚なので、子どもたちに見てもらいたい」
絶滅危惧種に指定されているバショウカジキ。
アクアマリンふくしまは5年前から、佐渡市の越前水産の協力のもと、バショウカジキを捕獲。将来的には人工ふ化を目指していますが、捕獲と輸送にも高いハードルがあります。
【アクアマリンふくしま飼育展示部 藤井健一 上席技師】
「体表がすごくデリケートなので、丁寧にとらないと傷ついてしまう。そのあたりを注意している。漁師さんに意見をいただきながら、網の改良とか、取り上げ方とか、みんなで意見を出し合いながら工夫してやっている」
協力する漁師も、この仕事を粋に感じています。
【越前水産 庄司洋平 大船頭】
「話を聞いて、大変難しいことだということだったので、ぜひ協力したいなと。最初から僕は乗り気だった」
この日は、大粒の雨が打ち付ける中での漁でしたが、1mほどの生きたバショウカジキの捕獲に成功しました。
【アクアマリンふくしま飼育展示部 藤井健一 上席技師】
「これからトラックに積み込んだりして、またこれから福島まで長い距離なので、安心して戻れるように頑張る」
港に戻り行われたのは、大型トレーラーに慎重に移し替える作業。しかし、このあと、トレーラーの中でバショウカジキが衰弱しているのが確認されたということです。
5年前からアクアマリンふくしまのチームに加わっている佐渡市・尖閣湾揚島水族館の元館長、佐藤義寿さんは、展示後の難しさについても口にします。
【尖閣湾揚島水族館 佐藤義寿 元館長】
「水槽に入れて、何とか年を越す。年を越せば、1年もってもらいたい。水族館はその繰り返し」
9月21日も早朝から捕獲に臨んでいたアクアマリンふくしまのスタッフと漁師たち。バショウカジキ漁が10月上旬まで続く佐渡の海を舞台にした水族館の挑戦は続きます。最終更新日:Thu, 21 Sep 2023 19:35:12 +0900