“クマの専門家” 県などに助言も
「様々な植物や動物の調査を学生とすることができたのが一番の思い出」こう新潟大学での27年間を振り返ったのは、農学部の箕口秀夫教授だ。
箕口秀夫 教授(2020年):
人に慣れてしまう、人間生活に慣れてしまうといったいわゆる新世代グマに変化してきている
箕口教授は中山間地に定点カメラを設置するなどしてクマの生態を観察。さらに…
箕口秀夫 教授(2023年9月):
クマの餌条件は非常に劣悪
専門家の立場で県などに助言を行い、クマの出没の増加が懸念される際には県民への注意喚起を行ってきた。
ユーモアにあふれた最後の講義
そんな箕口教授も23年度で定年。
22日の最終講義には多くの教え子が集まっていた。教え子は「ユーモラスでいつも冗談じみたことを言ってくれる楽しい先生」「同じことを知るにしても、こっちがワクワクするような講義だった」と振り返る。
その言葉通り、箕口教授の最終講義はユーモアにあふれたものになった。
箕口秀夫 教授(講義にて):
同一個体の夏と秋の体格なんですけど、冬ごもりをするためにたくさんの餌が必要。脂肪を蓄えるということで、私だけなんですけど「逆ライザップ現象」と呼んでいる。結果にコミットしているんですね、ちゃんと
講義の中で箕口教授が指摘したのは、人間の生活圏に近い里山で生まれ、里山で一生を過ごす新世代グマ・アーバンベアと呼ばれるクマの増加だ。
クマを集落に寄せ付けないよう緩衝地帯の設置などによるゾーニング、そして集落での対策が重要だと訴えた。
箕口秀夫 教授(講義にて):
「柿厳禁」ということを合言葉にクマの対策をしていかなければいけない
夢を叶えた箕口教授 若者に期待も
そして、講義の最後に語ったのは幼い頃の自身の夢。
「ガラパゴス諸島や世界のジャングル、大森林、草原などで生物の研究をしたいと、小学生のときに夢を抱いた。小学校の頃の夢を叶えることができました」
「夢を叶えることができた…」それは箕口教授が長年の努力の末につかんだ実感だ。
だからこそ、夢を抱く若者への期待も膨らむ。「不思議をどんどん解き明かしてくれることを期待している。バトンタッチしたい」
今後も研究を続けると話す箕口教授。多くの拍手に包まれてその教授人生に幕を下ろした。