全国的に増加している管理の行き届かない空き家。新潟県内でも空き家率15.3%と過去最高に。自治体が「空き家バンク」の活用を呼びかける中、空き家を取り巻く現状と実家の解体に踏み切った所有者の思いを取材しました。
■新潟県内の“空き家率” 過去最高に…
9月、上越市で行われていたのは空き家の解体作業です。
【解体を依頼 関川猛さん】
「非常に古い家なので、そのまま残して何かに利用するとなると難しいかなと」
解体を依頼したのは、神奈川県に住む関川猛さん。築約100年の実家は両親が亡くなったことで空き家となりました。
【解体を依頼 関川猛さん】
「ある意味、ちょっと”放っていた”というのが実態。(空き家になって)10年後くらいから、市のほうからも『ちょっとなんとかしてくれ』という注意を受けてはいた」
総務省によりますと、去年10月時点で県内の空き家の数は約15万6000戸、住宅の総数に占める空き家率は15.3%と過去最高になりました。
県は人口の減少や流出、また核家族化で家を引き継ぐ人がいないことなどが空き家の増加する背景にあるといいます。
【県都市政策課 細川太地 主任】
「誰にも管理されなくなってしまうと、外壁が落ちてしまったり、風で屋根が飛んでしまったり、そういったことになって地域に悪影響が出てくる。盗難など防犯面でも非常に危ない面があるかなと思う」
■“空き家対策”実施も…「所有者が県外や海外に」
こうした中、県内の自治体では空き家の流通を促す「空き家バンク」の活用の推進や、空き家を改装して移住者に提供するなどの取り組みを実施。
県も空き家の活用に関するセミナーなどを行っていますが、中には連絡の取れない所有者もいると言います。
【県都市政策課 細川太地 主任】
「県外にいるとか、あるいは海外にいるとか、そういったケースも中にはある。管理ができなくなってしまったり、相続放棄してしまったりすることによって、誰も所有者がいない空き家、そういったことになってしまうと“負の遺産”になってしまう」
関川さんも、仕事の忙しさなどから15年ほど空き家状態の実家を放置。次第に窓などが壊れ、解体の話を進めていました。
すると今年1月、能登半島地震が発生。
実家のある港町には津波が押し寄せ、その後、倒壊などを心配した近所の人から空き家に対する不安の声が届きました。
■解体業者の選定に苦労…見積もりサービスの需要高まる
一方、長く放置してしまった理由の一つが、業者を選ぶ難しさでした。
【解体を依頼 関川猛さん】
「指定業者ではないけど、変なことをしない業者。厳しい基準ではなくてもいいが、何かそういうつなぎ役を市が直接ではなくても、やっていただけたらありがたい。ちょっと解体するには、あまりにもハードルが高いような気が当時はしていたので」
こうした中、関川さんが知ったのが解体業者の相見積もりができるサービスの存在でした。あるサイトでは、見積もりの問い合わせ数がここ数年で1.5倍ほど増えたといいます。
【バリュークリエーション不動産DX事業部 梶原海都マネージャー】
「両親が亡くなられて相続したというケースが多いかなと思う。地震・災害で危機感を感じて解体しようかなという方もいらっしゃる」
去年12月の法改正により対策が強化され、空き家を放置していると最大で固定資産税が6倍になる恐れもあるため、運営会社は今後サービスの需要が高まると見込みます。
【バリュークリエーション不動産DX事業部 梶原海都マネージャー】
「解体からスタートして生まれる不動産のニーズ、駐車場にしたいとか、建て替えをしたいとか、そういったところも包括的にサポートできるようなサービスになっていけたらいいなと思っている」
変化してきた”空き家問題”を取り巻く環境。それでも、関川さんは実家について「空き家となる前に家族で話しあうべきだった」と振り返ります。
【解体を依頼 関川猛さん】
「空き家になってからは(対応が)難しい。離れていると。”一定時間はそれ(空き家対応)に費やす”ということを心がけるべきだと思う」