「マイクに頼らない」NST長谷川アナウンサーの朝一発声練習「びっくりするぐらい声を出します」 歌舞伎の外郎売からグリーンバック対策まで 知られざるニュース制作の舞台裏

テレビの画面に映るアナウンサーの姿は、いつも落ち着いているように見えるかもしれません。しかし、その裏側では様々な準備が繰り広げられているのです。今回、バズタイムズディレクターの鈴木凛々花さんが長谷川珠子アナウンサーに密着し、普段は見ることのできないテレビ局の舞台裏に潜入しました。鈴木凜々花さんは「驚きの連続だった」といいます。ニュース制作の知られざる世界をお届けします。

報道フロアの熱気と緊張感

「ここは従業員全員が働いているフロアで、もう右から左までわーっと」

長谷川アナの案内で鈴木さんが最初に訪れたのは報道フロア。モニターが並び、記者、ディレクター、技術スタッフなどが行き来する空間です。様々な職種のスタッフが一つの場所に集まってニュースを作り上げています。

「すごく風通しがいい状況になっています」と長谷川アナ。各部署を一つのフロアに集約することで情報の共有をスムーズにし、地震などの災害による緊急ニュースにも素早く対応できるよう体制を整えています。

長谷川アナの一日は、まず自分の予定確認とメールチェックから始まります。この日は11時40分からお昼のニュースの担当。放送までの限られた時間の中で、原稿の下読みなどをしていきます。

ニュース担当のアナウンサーはヘアメイクも自分で行います。「ヘアもメイクもお昼のニュースの時は自分でやります」と言う長谷川アナに鈴木さんは「意外でした!」と驚いていました。特にお昼のニュースはグリーンバックを背景に撮影されるため、「髪の毛もグリーンバックで抜けないように色々工夫が必要」なんです。

知られざるアナウンサーの「声の秘密」

次に長谷川アナが鈴木さんを案内したのは、夕方の「NSTニュースタッチ」のスタジオ。ここで長谷川アナは毎朝、発声練習を行っています。

「体をリラックスさせて、準備運動をしたら、もう結構私は躊躇なしに1発目から大きい声を出して発声するので」

「多分結構みんながびっくりするぐらい声を出します」と笑う長谷川アナの発声練習を聞いた鈴木さんは、またまた驚いていました。なぜ大きな声を出すのかというと…

「いくらマイクがあるからってこれに頼り切りでは良くないので、しっかり声を出さないとニュースは読めません」

長谷川アナが実践する発声練習は、息を長く続かせるための「ロングトーン」や、歌舞伎十八番の一つである「外郎売」も含まれています。この「外郎売」は現代ではアナウンサーの滑舌練習の教材としても使われています。

明瞭な声と安定した原稿読みができるように、アナウンサーはこうした地道な練習を繰り返しています。

原稿との格闘、一瞬の判断力

練習の最中に昼のニュース原稿が届くと、長谷川アナは即座に原稿に目を通し、読み方に関する注釈を入れていきます。

「続いてNSTから県内ニュースをお伝えします。新潟市の小学校で今日、年内最後の登校日を迎え児童たちが明日からの冬休みに胸を弾ませていました」

原稿には、どこで区切るか、どの言葉を強調するかなど、細かなメモを鉛筆で書き込んでいきます。そして、ニュースの尺(時間)を計算し、「残り57秒です」とデスクに報告。

ここでいう「デスク」とは、記者の原稿を直したり全体を見る役割の人のこと。「机という意味以外でデスクというのを初めて聞いた。聞いたことのない言葉が多い」と鈴木さん。

原稿が完成したら、コピーを取って関係者に配布。編集スタッフやテロップ作成スタッフ等それぞれの担当者に渡します。この過程で、原稿の間違いがないかも全員でチェック。「一致団結という感じ」と長谷川アナウンサーは表現します。

「デスクも人間なのでミスがあることはあります。本当に細かなミスや、漢字が間違っていたりとか…みんなニュースの放送時間まで急いで仕事をしているので、間違いのないようにそれぞれがフォローし合う態勢も重要です」

放送時間が近づくにつれ「なぜか私が緊張してきました…」と鈴木さん。そんな緊張感の中、いよいよ本番。長谷川アナはスタジオへと向かいます。

本番の緊張感と視聴者に届ける思い

「スタジオ入ります。よろしくお願いします。」

スタジオに入る前にスタッフとあいさつをし、いよいよ放送開始。長谷川アナは原稿を読み始めます。

「続いてNSTから県内ニュースをお伝えします。新潟市の小学校で今日、年内最後の登校日を迎え児童たちが明日からの冬休みに胸を弾ませていました」

「原稿を読んでいるのに、下を向いていない!暗記しているんですか?」と驚く鈴木さん。実は、アナウンサーの目の前にはプロンプターと呼ばれる装置があり、手元の原稿が映し出されているんです。

放送が終わると「最後『弾ませていました』で音を上げるようにし、弾んでいる表情を声で表現しました」と長谷川アナは鈴木さんに解説していました。

密着を終え「明日からニュースを見る時は、今日の事を思い出しながら見ます。この密着は驚きの連続でした。」と鈴木さんは話してくれました。

 

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