『10年に一度』『観測史上最高』年々深刻化する“猛暑” 100年前は?夏の平均気温を調査!暑さの感じ方に変化も「昔と比べて朝や夜も気温が下がりにくく、暑さを感じる時間が長い」

全国的に記録的な暑さが続く中、気象庁は2025年の夏は統計開始以来、最も暑かったと発表した。観測史上最も暑い夏となったが、100年前の気温はどうだったのか、気象庁のデータを紐解くとともに、近年の暑さの特徴について石黒菖気象予報士に聞いた。

“観測史上最も暑い”夏に

気象庁によると、2025年6月から8月の国内の平均気温は、平年より2.36℃高く、これまで最も高かった2024年と2023年のプラス1.76℃を大幅に上回り、1898年の統計開始以来、最も高くなった。

石黒予報士によると、地球温暖化の影響や、日本付近でチベット高気圧と太平洋高気圧の張り出しが強く、暖かい空気に覆われやすくなったことなどが要因だという。

日本の夏平均気温偏差(出典:気象庁)

地域別でみると、北日本で平年より3.4℃、東日本で2.3℃、西日本で1.7℃といずれも高くなっていて、これも統計をはじめて以来、最高に。 地点別でも、全国に153ある気象台などのうち132地点で、最も暑くなった。

新潟市の100年前の気温は?

6月と7月の平均気温が観測史上最高となった新潟市。では、一体どれほどのペースで気温が高くなっているのか。100年分のデータから紐解いてみた。

観測史上最高となった2025年の7月の平均気温は28.6℃。100年前となる1925年は23.6℃と、5℃も低かった。また、平年値となる24.9℃を上回った年数を20年単位で見ていくと以下のような結果となった。

平年値(24.9℃を上回った年数比較)

1925~1944年:8年

1945~1964年:6年

1965~1984年:6年

1985~2004年:9年

2005~2025年:14年

平均気温は年々上昇傾向で、2000年に入ってから平年値を上回ったのは、25年間で18年となった。直近では5年連続で26℃を超え、2025年は初めて28℃を上回り、観測史上2位の2018年に比べて1.2℃も高い気温となった。150年観測が続いている上での圧倒的な1位なので、2025年がいかに記録的な暑さだったかがわかる。

また、この傾向は全国的にも同じで、全国の歴代最高気温ランキングをみると、1位から4位までが2025年に記録したものとなった。※各地点の観測史上1位の値でランキング作成

猛暑の質にも変化?

そして、石黒予報士は暑さの感じ方にも変化が出ているという。

「気温が高い方が、空気中に含むことができる水蒸気の量が多くなるので、蒸し暑くなりやすい傾向になる。湿度高いと、気温が下がりにくいという性質があり、昔と比べて朝や夜も気温が下がりにくいので、より暑さを感じる時間が長くなっている」

また、「10年に一度レベルの暑さ」という記事も多く見られるが、これは「気象庁が発表している『早期天候情報』が元になっている」と解説。

早期天候情報

早期天候情報は、原則として毎週月曜日と木曜日に、情報発表日の6日後から14日後までを対象として、 5日間平均気温が「かなり高い」もしくは「かなり低い」となる確率が30%以上と見込まれる場合に発表されるという。

さらに石黒予報士は「『かなり高い』もしくは『かなり低い』とは10年に1度程度(10%)しか起きないような著しい高温や低温を示したものなので、高温に関する早期天候情報が発表された場合は、10年に一度レベルの暑さとなる確率が30%以上という意味であって必ずしも10年に一度レベルの暑さになるとは限らない」と釘を刺す。実際にこの情報は、近年は毎年、今年の夏は毎週のように発表されているという。

来年以降も暑くなる?

この厳しい暑さは来年以降も続くのか…石黒予報士は「どのくらいの暑さになるかはわからないが、このままだと高温傾向が続く見通し。異常な暑さがこれからの当たり前の暑さになっていくこと可能性もある」と話す。さらに9月の予想気温についても、警戒が必要だと呼びかける。

石黒菖気象予報士

「今年は9月にかけても夏の高気圧の勢力が例年より日本付近で強いのがポイント。最新の北陸地方の1カ月予報でも9月も平均気温は平年より高い予想に。特に9月前半は35℃以上の猛暑日となる地点も予想されており、もはや残暑とは言いがたい猛烈な暑さが続く見通し」

気象庁の気象区分では9月から秋となるが、異例の暑さは続き、”長い夏”となりそうだ。

(新潟ニュースNST編集部)