後を絶たない“飲酒運転”による職員の処分…なぜ?県庁・県警・市役所で違う処分の重さ

極めて悪質で危険性の高さから2007年に厳罰化された飲酒運転。
厳罰化から16年が経っても飲酒運転は後を絶たず、県教委や県警の職員などが検挙され、懲戒処分が下される事案も発生している。
しかし、この懲戒処分の重さは県庁や県警・市役所で異なっていた。その基準を聞いた。

増加している飲酒運転による検挙数

2006年8月、福岡県で幼児3人が飲酒運転による事故で死亡した。この事故をきっかけに飲酒運転は2007年に厳罰化され、2009年には行政処分も強化された。

しかし、2023年の新潟県の飲酒運転の検挙数は1月1日~5月17日で191件。前年同期比で34件増加している。このうち、逮捕は20件(前年同期比+7件)あった。

飲酒運転による人身事故も10件発生し、11人がケガをしている。

新潟県警察本部

極めて悪質で危険性の高い飲酒運転。

根絶に向けた取り組みが行われているが、取り締まる立場の県警の職員などが検挙される事案も発生している。

男性警部が二日酔いで酒気帯び運転 “停職3カ月”の懲戒処分

3月1日、糸魚川警察署の課長を務める40代男性警部が酒気を帯びた状態で車を運転し、出勤。男性警部はこの前日、署の懇親会に参加していて、午後5時ごろから午前0時ごろまで飲酒していたと言う。

男性警部はその後、酒気帯び運転の疑いで書類送検され、停職3カ月の懲戒処分を受けた。

糸魚川警察署

県警によると、飲酒運転の懲戒処分の基準は警察庁の基準を参考に決めているという。

酒気帯び運転の場合は免職・停職・減給処分。酒酔い運転の場合は免職・停職処分となっている。

当時の状況によって、具体的な処分の期間などが決められる。

県・県教委は酒気帯びでも原則“免職処分”に

2022年12月には県立高校の男性教師が飲酒運転により、検挙される事案もあった。

男性教師は飲食店で飲酒した後、激しい頭痛に襲われたことから自分の車へ。救急車を呼ぼうとしたが、携帯電話の電源が切れていたため、自力で運転して帰ることを決め、酒気帯び運転したという。

男性教師は不起訴となったが、県教委は男性教師を免職処分とした。

新潟県庁

県・県教委の懲戒処分の基準では、酒気帯びを含め飲酒運転をした職員は原則、免職処分となっている。

職員の飲酒運転相次いだ上越市 いずれも“停職処分”

上越市では、職員による飲酒運転が相次いだ。

2022年12月、20代男性職員が酒気帯び運転で検挙され、停職5カ月の懲戒処分に。

2023年3月には40代男性職員が酒気帯び運転で検挙され、停職6カ月の懲戒処分となった。

上越市役所

上越市は、人事院に定められている基準と同じ基準で、酒気帯び運転の場合は免職・停職・減給処分に。酒酔い運転の場合は免職・停職処分と定めている。

動機や故意・過失の程度、職責や社会的影響、普段の勤務態度なども加味して処分を決めているという。

新潟市役所

また、政令市・新潟市の基準では、酒気帯び運転をして人身事故を起こした場合は免職処分に。人身事故を起こさなくても、酒気帯び運転をした場合は免職か停職処分に。

酒酔い運転の場合は免職処分となっている。

重大な事故を起こす可能性が高い飲酒運転。事故を起こしてから、検挙されてから後悔しては遅い。

処分の重さに関わらず、ドライバーは高い規範意識を持つことが重要だ。