スクールバスでの降ろし忘れ相次ぐ
通園バスに長時間取り残された園児が熱中症により死亡する事故が全国で相次いだことを受け、2023年度から通園バスに「置き去り防止ブザー」の設置が義務化された。
事故の防止への取り組みが強化されている一方、新潟県内では2023年に入って、スクールバスでの児童の降ろし忘れが4件相次いで発生。
実は、2023年度から義務化されている置き去り防止ブザーの設置は、小学生以上のスクールバスには義務づけられていない。
これから夏本番を迎える中、児童の降ろし忘れをどう防ぐのか。
事故防止へ「可能な限り安全対策を」
記者リポート:
小学校の前にスクールバスがずらりと並んでいます。マイクロバスは20~30人ほど、中型のバスになると40人以上の児童が一度に乗れるということです
2016年に3つの学校が統合された新潟市西蒲区の潟東小学校では、校区が広く、全校児童の約8割がスクールバスを利用している。
バスの運転手:
児童が乗るときに、カウンターを使う
運転手は児童が乗り降りする際にその人数を確認するほか、送迎のあとは車内に児童が残っていないか、必ず1列ずつ点検。
点検を終えると、最後列に設置したチェックシートに確認した時間を記入し、置き去りの防止に努めている。
バスの運転手 白崎得男さん:
低学年で寝る子がたまにいる。シートの影になって、横になるとなおさら見えない。これから暑くなり、熱中症が増えるので、しっかりと確認しなくてはだめだと思う
市から委託を受ける運行会社は「学校の統廃合で校区が拡大するほか、雪道の登校もある県内でバスの運行は欠かせない」と、小学校のスクールバスも置き去り防止装置の設置を義務づけるべきだと訴える。
イドム営業本部 南須原哲 部長代理:
命に代わるものはないので、そういう安全対策があるのであれば、可能な限りやったほうがいいし、考えていかなくてはいけないと思う
実効性ある対策が急務
児童の降ろし忘れが相次いだことを受け、県は各自治体の教育委員会に対して、安全管理を徹底するよう通知を出しているが、県の権限では統一した対策を立てるのが難しいのが現状だ。
また、各教育委員会を取材したところ、多くは運行事業者に最終確認の徹底を呼びかけていたが、それ以上に対策を立てるのは難しいとの声も聞かれた。
今回取材した新潟市のほか、長岡市など16の市町村では、小学校のスクールバスにも置き去り防止ブザーの設置を進めている。
これから暑い日も多くなる中、こうしたブザーの設置を含め、児童の降ろし忘れを防ぐための実効性ある対策を立てることが急務と言えそうだ。