青春取り戻せ! 生徒がつくる文化祭
7月9日、新潟県見附市で行われた「だってアオハルしたいんだもん文化祭」。通称「アオ祭」。
屋台にステージイベントと、学校の文化祭のようなイベントだが、つくり上げているのは違う学校に通う生徒たちだ。
アオ祭開催のきっかけとなったのは、見附駅の前に2022年9月にオープンしたフリースペース「中高生の駅前(仮)拠点」。
ここは見附駅周辺のにぎわいづくりを行うNPO法人「doみつけ」が運営していて、放課後は中高生の交流の場となっている。
doみつけの木村祐太副理事長は「生徒たちが学校と駅を行き来しているだけなのを見て、何か寄れる場所があったら、ただ通り過ぎている場所が変わるのではないかと思ってつくった」と話す。
“憧れ”のスイーツ販売へ!
そんな生徒同士の交流の中で企画されたアオ祭。この日は、見附高校の女子生徒が地元の菓子店と協力してアオ祭で販売するスイーツのアイデアを考えていた。
見附高校の高校生:
マカロンとか!でも、マカロンは価格帯的にきついかも
CACHE- CACHE 本間厚気 店長:
でも、うちの店のマカロンは200円
見附高校の高校生:
すごい!
話し合いに参加していた高校生は「学校の文化祭では、そもそも飲食が新型コロナ禍で出せなくて。憧れていたから、できてうれしい」「青春を取り戻したい」と意気込む。
失われた青春… 思いを曲に乗せて
一方で、見附高校の生徒などからなる5人組バンド「Franz(フランツ)」のボーカル・竹沢越さんは、アオ祭のテーマソングを作詞作曲していた。
見附高校2年 Franzドラム 佐藤響佑さん:
弾けている感じ。#青春
「爆」とつけた曲のタイトルには、新型コロナに脅かされた高校生活への思いがあった。
見附高校2年 Franzギター 野口凌太さん:
やりたいこともできないし、正直、顔も分からない子がいる。すごく生活しづらい、楽しみづらい環境だった。新型コロナでたまっていた部分を出し切りたいし、もうちょっと見附を盛り上げられたらと思う
失われた青春を取り戻す生徒たちの巻き返しが始まる。
本番4日前、Franzのメンバーは長岡市のスタジオに集合。この日は「爆」の歌詞が完成し、ボーカルも合わせて練習する。
見附高校2年 Franzボーカル 竹沢越さん:
青春時代は、言うほど長いわけじゃない。なるべく、たくさん幸せな思い出をつくっていきたい
アオ祭スタート!会場には活気
青春を謳歌したいという思いを歌詞に乗せて、迎えたアオ祭当日。久しぶりの制限のないイベントに、生徒たちも気合い十分。
帝京長岡高校の生徒:
めっちゃ楽しい。色々な高校の人と関わって、友達も増えて最高
屋台やキッチンカーが並び、全9組の高校生バンドによるステージライブもスタートした。
照明も生徒が自ら担当し、みんなで会場のボルテージを上げていく。
さらにスイーツの販売も順調に進み、会場は活気であふれる。
長岡高専の生徒:
すごい!めっちゃおいしい。こんなにお祭り騒ぎで、すごく楽しそうだなと思って。僕は長岡から来たけど、何で長岡でやらないんだろうと思った
見附市民:
どんどん若い子がいなくなっていくと、活気がなくなってくると思う。見附、自分の地元を好きになってくれたら
青春の音色に「グッと来た」
一方、Franzは…
見附高校2年 Franzドラム 佐藤響佑さん:
トリから2番目。最後のほうなので、ラストスパート、めっちゃ盛り上げて沸かせる
長岡工業高校2年 Franzボーカル 恩田歩さん:
頑張る
結成から10カ月、Franzのアオ祭が幕を明けた。
多くの生徒たちで会場が埋め尽くされ、そこには学校生活の1コマとしてあるべきはずの光景が広がっていた。そしてテーマソング「爆」の演奏も…
Franzの演奏「爆」:
心配ないよ みんな同じならば 朽ちてゆく前に 倖せな思い出を積み重ねるのです
ステージ際まで押し寄せる観客の熱いまなざしを受けながら、青春の音色を響かせる。
訪れた生徒:
オリジナルの曲とかがあって心にグッと来た。聴いている側も青春を謳歌できてよかった
アオ祭スタッフ:
寂しい。本当に終わってほしくない
アオ祭は成功「青春取り戻せた」
そして、スイーツも無事に完売。
見附高校の生徒:
お客さんとの交流も面白かったし、笑顔になってくれたりして楽しかった。青春を取り戻せた!
doみつけ 木村祐太 副理事長:
今これだけのことができるので、もっともっと色々なことに挑戦してほしいし、成功や失敗があるが、やりたいことを面白いまま、素直にやってほしい
Franzのメンバーも手応えを感じたようだ。
見附高校2年 Franzギター 野口凌太さん:
楽しさが戻ってきた感があって、声を出すとか笑ったりとかできて、すごく楽しいライブができてよかった
見附高校2年 Franzボーカル 竹沢越さん:
この企画のタイトルに込められた願いを消化できたのではないかと思う
我慢の学校生活で募った悔しさを原動力に、高校生たちの青春の日々が始まった。