細い声で「助けてくれ…」 海で救出求める声
「堤防の外から『助けてくれ』という細い声で言っていたのを聞いた」
こう話すのは、新潟市に住む会社員の大木勉さんだ。
救助を求めていたのは60代の男性。男性は今年5月、新潟市西区の海でプレジャーボートを内陸側に動かそうとしたところ、船尾から大きな波を受けてボートから落水したという。
男性は波にさらわれ、そのまま西の方に流されてしまった。さらに、ボートを移動するだけの予定だった男性は、ウエットスーツや救命胴衣を着用していなかった。そんな中、懸命に助けを求めていたのだ。
当時、海でサップをしていた大木さんが最初に男性の声に気づいた。
白波が立つなか、大木さんは救命浮環に捕まって漂流していた男性を発見。この状況に気づいたのが、近くでサーフィンをしていた6人の男性だ。
このうちの1人、石井波琉輝さんは当時の状況について「大木さんが沖合から、岸の方に連れてきてくれたので、それをみんなで手助けしながら岸に向かった」と語る。
体温の低下が懸念されることから、男性に極力波があたらないよう、男性の周りを囲むようにして岸まで連れて行った。
男性の救助に当たった渋谷知広さんも、「ジャージで海にいたというその状況がとても考えられないので、いち早く岸に行かないとという感じだった」と明かす。
岸に着いた後も、体が冷えないようにと毛布を運んできたり、救急隊を要請したりと、迅速に動いた7人。救助された男性はそのまま病院に搬送され、低体温症の症状が見られたものの現在は回復しているという。
勇気ある行動と連携プレーで男性を救った大木さん、石井さん、渋谷さんのほか、飯原寛さん、渡辺義久さん、金子大輔さん、飯原瑠海さんの7人には新潟海上保安部から感謝状が贈呈された。
大木さんは「一歩間違えれば逆の立場ということもある。みんなで協力して救助できたのはすごくよかった」と話した。
新潟海上保安部は、海での事故があった際には「118番」に通報するよう呼びかけている。