関係者からの情報で発覚 “官製談合”の疑いで新潟県職員ら3人逮捕 工事入札巡り予定価格など漏らし公正な入札妨害

新潟県新発田市の区画整理工事をめぐる官製談合の疑いで、新潟県警は9月20日、県新発田地域振興局の農村整備部長と建設会社役員らあわせて3人を逮捕した。捜査関係者によると、入札の関係者から警察に談合の疑いを知らせる情報提供があったことから発覚したという。

官製談合の疑いで3人逮捕

9月20日午後6時半過ぎ、県新発田地域振興局に家宅捜索へと入る県警の捜査員…この家宅捜索は4時間以上にわたって行われた。

県警は20日、官製談合防止法違反などの疑いで、県新発田地域振興局農村整備部長の鶴巻博文容疑者(58)と建設会社・岩村組顧問の本田任容疑者(72)、岩村組役員の本間正明容疑者(65)を逮捕した。

県新発田地域振興局への家宅捜索

鶴巻容疑者は2023年6月22日に行われた新発田市松浦地区の区画整理工事の入札をめぐり、事前に予定価格や参加業者などの秘密事項を本田容疑者に漏らした疑いが持たれている。

一方、岩村組の本田容疑者と本間容疑者は鶴巻容疑者から教えられた予定価格をもとに落札率93.8%の1億200万円で落札。公正な入札を妨害した疑いが持たれている。

岩村組の社員は「私は現場の人間でこちらにあまり来ていないので、あまり分からない」と多くを語らなかった。

一方、県新発田地域振興局の阿部久紀局長は「新発田地域振興局の職員が談合の疑いで逮捕されたということを聞いて、まずは驚いた。これから警察の捜査にしっかり協力しながら、局としても状況の把握に努めていく」と警察の捜査に協力していく考えを示した。

県新発田地域振興局 阿部久紀 局長

2022年4月、農村整備部長に就任したばかりの鶴巻容疑者。

過去にも新発田地域振興局の農村整備部で勤務していて、勤務態度に問題はなかったという。阿部局長は「局長として鶴巻部長と色々とやりとりはこれまでもあったが、お願いしたことに対しては適宜、十分に対応してきていただいたという印象」と鶴巻容疑者について語った。

一方、花角知事は「今回の件は公共工事に対する県民の信頼を揺るがすものであり、事実とすれば誠に遺憾。職員の法令遵守の徹底を図り、県民の皆様の信頼回復に取り組んでいく」とコメントしている。

花角知事

捜査関係者によると、入札の関係者から警察に談合の疑いを知らせる情報提供があったことから今回の事件が発覚したと言う。

警察は3人の認否を明らかにしていないが、どちらが談合を働きかけたかなど余罪も含め捜査している。