駅に直結していない全国唯一の地下商店街
1976年に開業した西堀ローサ。
新潟市によると、全国で唯一駅に直結していない地下商店街で、ピーク時には約50億円の売り上げがあったという。
しかし、大和新潟店や新潟三越が閉店するなど古町地区の衰退に伴い、売り上げや入居する店舗が減少。昨年度まで7年連続で赤字を計上した。
この夏には冷房が故障するなど、施設の老朽化も問題に。
「今の冷温水撥水機はかなり高額になるので、財政上の事情で順番的に遅くなっているという状況」
夏にこう話していたのは、西堀ローサを運営する第三セクターの新潟地下開発の岡澤修社長だ。
市からの借入金返済出来ず…三セク解散へ
新潟地下開発は、新潟市から約9億円を借り入れているが、これまでに1円も返済できていないうえ、老朽化が進んでいることから事業の継続を断念する方針を決めた。
そして、11月20日に西堀ローサで開かれた臨時株主総会。
「新潟市からの借入金の返済が非常に難しいということで“解散”もやむを得ないのではないかということで…」
岡澤社長は「解散」という言葉を口にした。
新潟地下開発は、新潟市からの借入金の返済期限である2025年10月までに会社を解散する方針を決め、臨時株主総会で承認を得た。
「色んな外的要素もあり、なかなか売り上げが伸びず、現在のような状況に至ったということは、非常に私としては残念だし無念」
岡澤社長は株主総会でこう話した。
これを受け、西堀ローサを利用してきた市民は「想像できない、なくなるのは悲しい」「活用してほしいと思う」と話す。
テナントは再来年10月までに退去「今後は…」
一方、地下街に入る店舗は全て、解散する2025年10月までに退去しなければならない。
中古レコードなどを販売するKINGKONGの長井瞳さんは「スタッフのショックだけじゃなくて、長年来てくださっている方たちの気持ちも考えると、なおしんどい」と話す。
また、長井さんは今後の営業場所について、最も不安に感じているという。
「古町界隈で、ここはどうですかという提示をしてくれるのか、退店してくださいと言われるまでに見つかるかどうかが問題」
新潟市は今後、新潟地下開発と債務整理のほか、地下商店街のあり方についても協議する方針だ。
新潟市の中川高男経済部長は「これで西堀地下街・西堀ローサが終わりということではなくて、また別の形で新たなスタートができるのではないかなというところも踏まえて、皆様方と協議しながら進めていきたい」と話した。
「商業的な活用厳しい…」西堀ローサの今後は?
中原八一市長は11月30日の会見で「様々な支援をしてきたが、やはり大和・三越の撤退などによる古町の低迷、そして、それ以外にも周辺環境の変化も著しく、西堀ローサの商業施設としての再生は難しかったというふうに感じている」と語った。
さらに、今後の西堀ローサの活用方法についての持論も展開した。
「商業的な面では厳しいと思うが、“にいがた2km”の一角でもあるし、古町地区の繁華街という地下施設でもあり、魅力的で有用なものだというふうに思う。今後の再生活用方策については、関係者の皆さんからご意見をいただきながら、一緒になって考えていければ」
一方、西堀ローサに入居するテナントの移転に対する支援については、「テナントから要望を聞いておらず、現時点では考えていない」と話した。
全国でも唯一の地下商店街をどう活用するのか…その活用法が注目される。