「断らない救急」実現へ…総工費375億円の病院完成! 年間約6000件の救急要請受け入れ目指す

新潟県の三条市や燕市など県央地域の中核となり、高度医療などを担う県央基幹病院が完成した。総工費375億円かけて新たに誕生した県央基幹病院が目指すのは「断らない救急」だ。

県央地域の中核担う病院へ

新潟県三条市に完成した県央基幹病院。

県央基幹病院(新潟・三条市)

 

県央基幹病院は、燕労災病院と三条総合病院が再編・統合し、土地の取得費や医療機器購入費など総工費約375億円をかけて新たに建設された。

9階建ての建物には、救急科や小児科など31の診療科と、一般病床・感染症病床合わせて400の病床が備えられていて、県央地域の救急医療などの中核を担う。

この病院が目指すのが、全ての救急患者を診療するER救急体制、いわゆる「断らない救急」だ。

県央地域ではこれまで圏域内の救急要請に対し、約25%は対応できず、圏域外へ対応を依頼していたが、今後は圏域内の約95%対応できる体制が構築される。

県央基幹病院では、年間約6000件の救急要請を受け入れ「断らない救急」の実現を目指す。

一般の内覧会も開かれた4日、病院を訪れた三条市民は、「救急車はいま、三条とかこの辺だと長岡市や新潟市に運ばれることもあるので、ここで診てもらえるとうれしい」と新たな病院の完成に期待を寄せていた。

「断らない救急」病院内の設備は

病院には救急を重視したハード設備が整備されている。

県央地域で最大規模となる約10室の救急外来が設けられ、それぞれの処置状況が一目で分かるようにモニターに映し出されている。

特に専門性の高い一部の治療は、新潟・中越圏域の救命救急センターと連携して対応する。

また、4床備えられている感染症病床は最大28床まで増やして対応することができる。

1階から2階へのエレベーター脇の壁や、外来診療の受付の壁には、県産のスギが使用されている。

「災害拠点病院」としても期待

主な診療機能や発電設備などは2階に設置され、水害対策としてエレベーターも2階まで。災害拠点病院として地域を支える役割も期待される。

2009年の「救命救急センター及び併設病院のあり方検討会議」から具体的な議論が始まり、15年の時を経て開院を迎える県央基幹病院。

花角知事は、「地域医療をより持続的なものにして、県民の皆さんが安心して医療を受けられる環境づくりは県の大事な責任だと思っている」と話し、加えて「医療関係施設が機能分担しながら連携していく、そうした環境を県内7つの医療圏それぞれにつくれるように努力して参りたい」と決意を新たにした。

新潟県 花角知事

院長に就任する予定の遠藤直人さんは、「ここ1カ月の間に準備を進めて円滑に開院し、診療等を進めていきたい」と意気込みを語った。

院長に就任予定の遠藤直人さん

県央基幹病院は3月1日(金)に開院、外来診療は3月4日(月)から始まる。