働き方改革が突き付けた出産を支える医療の厳しい現実とは…杉山萌奈アナが作ったドキュメンタリー番組

杉山萌奈です
今年のFNSドキュメンタリー大賞出品作品のディレクターをつとめました。

5月25日(土)午後2時から
『産声をあげた働き方改革~医療現場のジレンマ~』と題して放送します。

杉山萌奈アナウンサー

杉山萌奈アナウンサー

「番組のディレクター・ナレーションを担当しました」

番組のきっかけは
「医師不足の新潟県で働き方改革に対応していけるのだろうか…」

そんな声が、毎月担当している医療企画「医師に聞く」の取材中に多くの診療科の医師から聞かれたことによります。

中でも産婦人科は対応が1番困難と言う指摘もあったそうです。
24時間365日いつ舞い込むか分からないお産に対応するため待機時間が長時間に及ぶことが要因です。

医師の働き方の導入まで期間が迫ってきた頃、新潟県内では県立十日町病院が分娩を休止するという知らせが届きました。

産婦人科は、産まれてきた私たち全員が関わってきた唯一の診療科なのに実際は新潟県の勤務医がどんな働き方をしていて、県全体の産科医療を見渡すとどんな状況に置かれているのか分かりません。

今後さらに病院を集約化してかなければいけないのだとしたら、広く現状を知り、伝えることが必要だと感じ取材を決めました。

新潟大学医学部産科婦人科学教室、長岡市の立川綜合病院・産婦人科、十日町市のたかき医院から沢山のご協力を得て約8か月間取材を重ねてきました。

番組では、県立十日町病院が分娩休止となり地域唯一の産院となった十日町市のたかき医院と、県内で最も分娩数が多い長岡市の立川綜合病院の医師が感じている葛藤を伝えています。

患者を思いやる温かい診療で信頼されるたかき医院の仲栄美子医師

 

左から立川綜合病院産婦人科・佐藤孝明主任医長、佐藤仁美医師

たかき医院の高木成子医師(79)から「昔は1人で500人のお産をとりあげていた」という話を聞き、いかにこれまで医師の献身によって医療が支えられてきたのか実感しました。

 

その医療を取り巻く環境は、2024年4月に始まった「医師の働き方改革」により大きく変化しました。

 

産まれて来た私たち全員が関わってきた産婦人科の医師の仕事を患者自身も自分事としてよく理解することが大切なのではないかと思います。

取材では、多くの出産に立ち会わせて頂き、新たな命が誕生する瞬間をカメラに撮らせてもらいました。

たかき医院で第2子を出産された斎藤里穂さんと旦那さん。琳ちゃん、産まれてきてくれてありがとう

 

番組を通じて命を取り上げる産婦人科医の仕事のやりがいや素晴らしさも感じて頂ければと思います。

私にとって入社10年目という1つの節目で
取材・撮影・編集・ナレーションと全てを担当した初めての特別番組です。
5月25日(土)午後2時からご覧いただければ嬉しいです。

またこれからもニュースを通じて県内の医療を取り巻く現状を伝えていければと思います。

NSTアナウンサー杉山萌奈