“山岳医療”に迫る 月10ドラマ「マウンテンドクター」国際山岳医の研修を取材「生きて帰れる人を1人でも多く…」 登山で注意すべきポイントは?

7月から始まった月10ドラマの「マウンテンドクター」は、山岳医療にスポットを当てた新たな“山岳医療ドラマ”だ。

 

長野県松本市で生まれ育ち整形外科医となった宮本歩(杉野遥亮)は、着任早々、山岳診療科との兼務を命じられる。戸惑いながらも現場に向かう宮本の前に、同じく山岳診療科勤務で“国際山岳医”の江森岳人(大森南朋)が現れるというストーリー。

 

“国際山岳医”というのは少し聞き慣れない名前だが、7月8日、新潟県でも国際山岳医を招いた山岳救助の研修が行われた。

7月8日、南魚沼市で行われた山岳救助の研修。

講師に迎えたのは、国際登山医学会の副会長であり、山岳医療救助機構代表の大城和恵さん。大城さんは日本初の国際山岳医でもある。

大城さん説明中

大城さん

長野県出身の大城さんは、長野県山岳遭難対策特別アドバイザー医師を務める傍ら、北海道警察や富山県警察などの山岳遭難救助アドバイザー医師、また、全国警察山岳遭難救助アドバイザー医師なども務め、登山者の安全を医療で支えるために幅広く活躍している。(大城さんのプロフィールより引用)

 

 

この日は、消防隊や警察官が山での要救助者の搬送方法や山岳救助の装備について学んだ。

2024年は雪解けが早かったこともあり、南魚沼市消防本部管内では4月からすでに14件の山岳事故が発生している。そのほとんどが、装備不足や無理な計画での登山が原因だったという。

 

大城さんは、限られた装備でいかに救助者の症状を悪化させずに搬送するか、山岳救助時の対応の優先順位などを指導した。

研修を通して大城さんは、「警察や消防は、山の救急隊として命を助ける技術とスキルを持っているので、ぜひ現場の可能性を高めて、生きて帰れる人を1人でも増やせるように活躍してほしい」と伝えた。

一方で、これからの時期の登山では、熱中症だけでなく低体温症にも注意が必要だ。

「脱水から疲労になる方が多いので、登る前に水分をしっかりとることが大事。登っている途中も適度に水分と塩分をとって、疲れたと思ったら少しでも無理をせずに降りるようにしてほしい。いくら水を飲んでも暑さには敵わない。天気の悪い日は登らないことや、時間を選んで上ることも大切。また熱中症だけでなく低体温症も発症する可能性があるので、気温の変化に対応できる衣類や装備を準備することが大切だ」と大城さんは話す。

 

大城さんを招いての講習を開催した南魚沼市消防本部は、夏休みに登山を楽しむ際には装備を整えて無理のない計画で行ってほしいと呼びかけている。

 

近年、登山人気が高まり、登山を趣味にする人も増えている。

ドラマ「マウンテンドクター」第1話でも、登山中に救助要請を出したのは、とうてい登山用の装備とは思えない軽装の若者6人組だった。

 

 

こうした山での医療にあたる山岳医の奮闘を描いた“山岳医療ドラマ”「マウンテンドクター」は毎週月曜午後10時に放送中。