「立候補したくなるPTAに…」役員全員が立候補者! 3年かけて改革を進めた紫竹山小学校PTAの挑戦

学校と保護者が協力し運営する学校のPTA。その役員決めには、強制的なイメージがつきまとうが、2023年度「役員が全て立候補者によって成立したPTA」が新潟市にある。その背景には、3年かけて進めた改革があった。

ポジティブな組織へPTA改革

新潟市中央区にある紫竹山小学校。PTA会長の大堀正幸さんが役員の前で語っていた。

紫竹山小学校PTA会長 大堀正幸さん:
今期は、全て立候補者だけの組織になる。過去初めてだと思う

紫竹山小学校PTA会長 大堀正幸さん

2023年度初めて、全ての役員が立候補者のみで選出されたという紫竹山小学校PTA。

2020年に会長に就任した大堀さんは、保護者が「役員をやってみよう」と思えるポジティブな組織を目指し、3年かけて紫竹山小学校のPTAの組織改革を進めてきた。

紫竹山小学校PTA会長 大堀正幸さん:
役員が負担になると、その後もPTAに悪いイメージがついてしまう。そうなれば、PTAは持続的に続いていかないと思う

大堀さんがそれまでのPTAで問題視した一つが「活動内容が保護者に伝わっていない」ということだ。

紫竹山小学校PTA会長 大堀正幸さん:
役員経験者からとったアンケートで一番不満・不安として挙がったのが「どういう業務をするのか分からなかった」だった。「思ったより大変だった」とか、「こんなこと聞いていなかった」とか

組織名を変更 会議はリモートで負担軽減

そこで2023年度は、名前からも活動内容が分かるように一部の組織の名称を変更した。

「環境育成部」は、その業務内容から「花壇管理サポーター」に。広報誌の発行をやめ、インスタグラムでの配信に切り替えたことから、「広報文化教養部」は「インスタチーム」として生まれ変わった。

また、大堀さん自らがPTAの活動内容をプレゼンする動画を2月末から配信し、3月の役員選考までにPTAへの理解を促した。

大堀さんは動画でPTAの活動内容をプレゼン

そのほか、役員の負担を軽減するため、対面である必要がない打ち合わせは全てリモートに。役員からの評判は上々だ。

役員3年目の保護者:
下の子どもがまだ小さいので、子どもの世話や家事をしながら会議に出ることもある。要所、要所、自分のタイミングで参加できるので、ずいぶん楽になった

役員を経験した保護者:
思ったより集まる回数が少なくて、すごく活動しやすいな、楽しいなと思った

さらに、将来的な少子化を視野に、2022年度67人だった役員の数を54人に削減した。

紫竹山小学校PTA会長 大堀正幸さん:
2023年4月現在、紫竹山小学校の児童数は425人だが、今後、児童数は横ばい、もしくは減少傾向になる。「保護者1人が6年間で1回は役員をする」という原則から計算すると、これまでの役員数では、1人が2回以上役員をする必要があると予想される。児童数が減っても成立する組織体系に今から変えておく必要があると考えた

初めて役員になる保護者:
PTA役員は、今まで大変そうだと思っていたが、話を聞いたときに意外と楽しそうだな、負担なくできるのかなと思ったので、今回立候補させてもらった

教育環境向上へ「先生の伴奏者に」

役員が全て立候補者で成立するというポジティブな変化を学校も歓迎している。

紫竹山小学校 風間弘子 校長:
親御さんが元気になると、教職員との連携も図られて、教職員も元気になる。それは全て子どもたちに還元されていくので、とても良い取り組みだと思っている

紫竹山小学校 風間弘子 校長

大堀さんは、PTAは学校と保護者の間に立つ重要な組織だと強調する。

紫竹山小学校PTA会長 大堀正幸さん:
今は、なかなか先生と保護者が交流する場が少なく、保護者と学校は疎遠になっていると感じている。そのため保護者は、何か起きると「学校が悪い」という意見に向かいがちだが、先生が働きにくいと、子どもにとって良い教育環境にならない。それを緩和するのがPTAの役目。先生方の伴奏者、応援者でありたい

子どもたちの教育環境の向上を理念の一つに掲げる紫竹山小学校PTA。

紫竹山小学校PTA会長 大堀正幸さん:
役員数が増えるくらい、学校を応援したい・子どもたちを応援したいという保護者が増えてくるのが理想。今の段階では高望みはできないが、いずれそういう組織は作れると思っている

「立候補したくなるPTA」は、活動内容の明確化と効率化から生まれていた。