ハミ出す炙りチャーシューに山頭火を思わせる乳白色スープ 三条の名店「ののや」デラックス塩ラーメンの意外な相棒「特製卵かけご飯」

吹雪く三条の街を、ラーメンの香りを頼りに歩を進めました。昼下がりの空は鉛色に沈み、雪が舞い散るなか、ふと目に入った「ののや三条本店」の暖簾。「今日は塩・しお・シオって感じの気分なんですよね」。寒さで頬が紅くなりながら、私は看板メニュー「塩豚骨ラーメン」を求めて、店の戸を開けました。

冬空の下で見つけた、温かな誘惑

店内に足を踏み入れた瞬間、湯気と共に立ち込める豊かな香り。カウンター越しには、リズミカルな包丁の音と、鍋の心地よい音が響きます。メニューを手に取り、塩ラーメン、醤油ラーメン、味噌ラーメン、つけ麺と目を走らせますが、私の心は既に決まっていました。

「人気ナンバーワンが塩ラーメンなので、やっぱり私は今日は塩で行きます。もう絶対に曲げません」。その言葉には、寒い道のりを越えてきた自分への褒美のような、小さな決意が込められていました。

期待を裏切らない、芸術的な一杯

厨房からの掛け声と共に運ばれてきたデラックス塩ラーメンに、思わず息を呑みます。「めっちゃデラックスですよ」。その言葉は、目の前の光景を形容するには少し物足りないほどでした。美しい乳白色のスープは、立ち上る湯気と共に冬の午後の光を受けて輝き、器からはみ出すほどの大きなチャーシューは、まるで芸術作品のよう。「お肉が大きい。もうはみ出しちゃってるもう」。その光景は、寒い外の世界を一瞬で忘れさせてくれました。

感動が紡ぐ、味わいの物語

最初のひと口で、店内の喧騒が遠のいていきます。「すごい。めっちゃめちゃクリーミーです。こんなに濃厚な塩ラーメン初めて」。その言葉は、まるで独り言のように零れ落ちました。豚骨ベースでありながら、「普通の豚骨ラーメンよりもちょっとまろやかというか優しい味がします」。その味わいは、まるで長年の研鑽が生み出した、職人の自信作のようでした。

中太の縮れ麺が、スープの中で踊るように泳ぎます。「麺と一緒にね、食べることでふわっと豚骨が香るんですよ」。縮れ麺の一本一本が、まるで楽器の弦のように、スープの味わいを奏でていきます。炙られたチャーシューから立ち上る香ばしい香りは、寒い冬の日に温もりを運んでくる使者のよう。「香ばしさもプラスされて、美味しい」。その言葉は、心からの感動を伝えきれない歯がゆさを含んでいました。

意外な出会いが織りなす、もう一つの物語

雪の日の思いがけない出会いは、まだ続いていました。「サイドメニューで卵かけご飯を追加」。その一言が、この日の体験をさらに特別なものに変えていきます。

「醤油は大丈夫、何にもかけなくていいんですよ」。店員さんの言葉に、最初は戸惑いを覚えました。しかし、その提案は、私の「当たり前」を優しく覆していきました。お肉の旨味が染み込んだご飯と、とろりと流れる卵が織りなす味わいに、思わず目を見開きます。「お肉、卵、カツオ節、ご飯、天才です」。その感嘆の声は、新しい美味しさの発見に満ちていました。

冬の三条が育んだ、確かな味わい

店を出る頃には、雪はやや小降りになっていました。しかし、心の中は温かな余韻で満たされています。看板メニューの塩豚骨ラーメンが見せた確かな実力と、特製卵かけご飯というラーメンと相性バッチリな提案。その両方との出会いは、この寒い冬の日の、かけがえのない思い出として心に刻まれました。

吹雪の中をくぐり抜けて出会った一杯は、三条の冬が育んだ珠玉の味でした。帰り道、私の足取りは来た時より確かに軽くなっていました。雪は相変わらず降り続いていましたが、その冷たさも、今は心地よく感じられました。

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