新潟・燕市の技術力の結晶「押しても引いても削れる」カラフルな爪やすりが誕生 創業120年の技術で挑んだ“削っても色が落ちない”一生モノの道具

新潟・燕市の静かな工房で、爪やすりの常識が覆された。「押しても引いても削れる」——そんな不思議な爪やすりを作るのは、120年以上続く老舗の職人たち。その現場を訪ねたディレクターが見たのは、技術と情熱が詰まったものづくりの世界だった。

看板に刻まれた名前の意味

工房に足を踏み入れたディレクター・鈴木凛々花を迎えてくれたのは、吉田尚史(ひさし)さん。工房の看板には「吉田鑢(やすり)」と大きく刻まれている。「昔は会社名っていうより、屋号みたいなものでした」と語る吉田さん。工房の奥には、爪やすりの製造に使われる古い機械が並び、空間全体が“職人の時間”で満たされている。

創業者の名前がそのまま会社名に 歴史を感じる看板が迎えてくれる

「押しても引いても削れる」爪やすりの秘密

「これが新商品の爪やすりです」——手渡されたのは、ピンク色のコンパクトな爪やすり。
見た目はサーフボードのように丸みを帯び、持ち運びにも便利なサイズ感。最大の特徴は、押しても引いても爪が削れるという点。吉田さんは「今までの商品は押す動作しかできなかったんですが、これは引いても削れるんです」と説明する。実際に使ってみると、「シャリシャリ」という音とともに、爪が滑らかに整っていく。冬場など爪が割れやすい時期にも、簡単にケアできるのが嬉しい。

押しても引いても削れる独自構造 音でわかる削れている実感

色が落ちないアルミと、職人技の融合

「色付きの爪やすりって、削ると剥がれちゃうんじゃないかって心配されるんです」と吉田さん。しかし、この爪やすりは違う。燕市のアルミ加工技術を活かし、削っても色が落ちない素材を採用。「基本的に爪を削る程度では摩耗しないので、一生使えます」と自信を見せる。製造工程では、1960年代から使われている目立て機を使い、斜めに交差する“クロス目”を職人が手作業で打ち込んでいる。「この刃(タガネ)を作るのが一番大変なんです。今はもう自分で作るしかない」と語るのは吉田尚史さんのお父さんであり7代目の吉田実さん。

加工前の爪ヤスリに目を立てていく

1960年代の機械で刻まれる目

デニムに込めた職人の誇り

工房で働く父子は、揃って全身デニム姿。「父がEVISUのデニムが好きで、ユニフォームにしたんです」と笑う吉田さん。ロゴには「吉」の文字と、クロス目の意匠が込められている。
「アルファベットのYで吉田っていう意味と、クロスしたやすり目を表現しています」と説明する。某プロ野球選手が使っていることもあるというこの爪やすり。名前は出ていないが、確かな品質が評価されている証だ。

ロゴには職人の誇りと思いが込められている

「一生使える」ことの意味

「一生使えるって、実はデメリットでもあるんです」と吉田さん。耐久性が高すぎて、買い替えの需要が少ない。技術力の高さ故の悩みである。それでも、「爪やすりだけで爪をケアする文化を広げたい」という思いがある。「まだまだ爪やすりの魅力は伝わっていない。だからこそ、広げていく価値があると思っています」と語る。その言葉には、120年の歴史を背負う職人の覚悟が込められていた。

一生使える爪やすり 職人の思いがあなたの手元に届く

吉田ヤスリ製作所

〒959-1244 新潟県燕市中央通り2丁目1-12-2

(T)0256-62-3664 / (F)0256-62-4151

吉田ヤスリ オンラインショップ

https://yoshidayasuri.shop-pro.jp/

 

 

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