切符やICカードを出さず“顔認証”で改札通過!新潟駅~長岡駅で実証実験始まる 便利な一方で課題も!?

上越新幹線の新潟駅と長岡駅で切符やICカードを取り出すことなく、歩いて通過できるウォークスルー改札の実証実験が始まった。JR東日本東日本では初めてというこの実証実験。その狙いなどを取材した。

「お客様にワクワク感を」

11月5日にJR東日本・長岡駅の新幹線改札に登場した、近未来を感じさせるトンネル。

ウォークスルー改札(長岡駅)

これは、従来の改札に必要な、切符やICカードを取り出すことなく通過できる、ウォークスルー改札だ。

このデザインについてJR東日本新幹線統括本部の恩田義行ユニットリーダーは「改札機を通過するお客様がワクワク感を感じられるようなつくりになっている」と話す。

改札の混雑緩和などを目的にJR東日本が実用化を目指すウォークスルー改札。この実現のために活用されるのが、顔認証技術だ。

長岡駅に設置されたトンネル型の顔認証改札機は、中を通った際に壁面に設置されたカメラが顔を認識。事前に登録された顔と照合して通過できるかどうかを確認する。

認証に成功したかどうかは、光る色で通過する客に通知。成功したら緑色に、失敗したら赤色に光る。

新潟駅の改札機は別タイプ

実用化に向けて、まずは新潟駅と長岡駅間の新幹線定期券を持った中学生以上の客を対象に11月6日から実証実験が始まった。

ウォークスルー改札(新潟駅)

もちろん新潟駅にも顔認証改札機が設置されているが、長岡駅の改札機とは別のタイプのもの。

既存の新幹線改札機に顔認証改札機をかぶせて設置するタイプを採用していて、従来の改札機と大きく見た目が変わらないのが特徴だ。

恩田ユニットリーダーは新潟駅の改札機について「日常の生活になじむように、通過されるお客様が顔認証改札にすんなり入っていけるような改札機をつくった」と話す。

「早く実装できるよう検証重ねたい」

駅の利用者からは、「スムーズに行けば、改札の混雑はだいぶ減るのではないか」「顔だけでいいなら両手が開いて楽だ」などの利便性の向上を期待する声が聞かれた。

その一方で、「顔が似ていて引っかかるなどがありそうで、切符やICカードのほうが安心感はある」と不安を口にする人も。

こうした不安の声に応えるべく、顔認証の精度などについて実証実験を通して検証していく方針だと恩田ユニットリーダーは話す。

「顔認証改札は大きな荷物をお持ちのお客様とか、普段切符を使い慣れていないお客様に非常に有効な手段。新幹線で優位性が高いと思っているので、より早く実装できるように様々な検証を重ねていきたい」

利用者からの声は?

実証実験のモ二ターに登録されたのは約500人。さっそく実証実験が始まった6日朝の通勤・通学時間帯には多くの人が顔認証改札機を利用していた。

「ドキドキしながら通ったが、スムーズに通れた。登録するときはあっさりだったので、しっかり顔が認証されてびっくりした」「スムーズで楽だった。定期券を出したりする手間がなくてよかった」と利便性を口にした利用者がいた一方で「周りの音が大きく、通ったときにOKなのかどうか音が聞こえづらかった」と話す利用者もいて、課題も浮き彫りとなったようだ。

この実証実験は一部の期間を除き、26年3月末まで続く予定でJR東日本はここで出た様々な意見や課題を検証し、早期の導入を目指すとしている。