新潟県糸魚川市の能生漁港にある海洋高校の実習棟。ここで飼育されていたのはアカムツ、通称“ノドグロ”の稚魚です。
もともとは富山県にある近畿大学の実験場で飼育されていました。
【近畿大学 水産研究所富山実験場 家戸敬太郎 場長】
「富山県でなかなか卵が取れなくて苦労していた」
ノドグロの養殖に関する研究を行っていた近畿大学は2018年に海洋高校と協定を締結し、共同研究を開始。
失敗を繰り返しながら6年の歳月をかけ、ノドグロの放流にこぎつけました。
しかし、元日の能登半島地震で富山県の実験場は設備が壊れるなどして飼育していた多くの魚が死んでしまう事態に。
ただ、ノドグロの稚魚は…
【近畿大学 水産研究所富山実験場 家戸敬太郎 場長】
「たまたま12月に輸送させていただいたおかげで奇跡的に被害を免れて」
糸魚川での放流に向け移送されていた稚魚は3月12日まで海洋高校の生徒が大事に育ててきました。
【生徒】
「今までちゃんと育ててきたかいがあったなと。私たちができる最後のことまでできて、放流して、今後の漁業の未来につながっていけばいい」
【齋藤正昂アナウンサー】
「生徒たちが水槽で大事に育ててきたアカムツの稚魚たち。バケツに入れられ、放流の時を迎えます」
実習棟の水槽から稚魚をトラックに積み込み港へ。そして、ショックを与えないようにゆっくり丁寧に船の上の水槽に移していきます。
【生徒】
「せっかく地震から生き残った稚魚たちがいる。それを放流できるというのは、すごく妙なことだと思う」
いよいよノドグロを乗せた船が漁港を出発。10分ほどをかけて放流を行う沖合に到着しました。
【齋藤正昂アナウンサー】
「船の先頭にあるホースからアカムツの稚魚が放流されていきます」
約8000匹の稚魚の放流は無事に成功。
【近畿大学 水産研究所富山実験場 家戸敬太郎 場長】
「お手伝いいただいた学生さんたち、それから漁業者の方が非常に丁寧に魚を扱ってくださったので、魚がほとんど暴れなかった」
【生徒】
「生き延びてくれて、こうやて能生の海で放流できたことはとてもうれしい。今後、種苗が成長して、どんどん海が豊かになっていけばいい」
近畿大学と海洋高校は今後も連携してノドグロの稚魚の放流を行う予定だということです。最終更新日:Wed, 13 Mar 2024 08:53:00 +0900