

新潟県長岡市にある精肉店の貼り紙がSNSで反響を呼んでいる。一人娘の卒園式に両親で出席するため、臨時休業を伝える貼り紙だ。娘の成長を見守りたい店主の親心が生んだ特別な一日に密着した。
■反響呼んだ貼り紙 その理由は“一人娘の卒園式”

3月、SNSに投稿され、2.6万いいねを集めた1枚の写真…投稿されたSNSには「よく総菜を買いに行く職場近くの精肉店に見慣れぬ張り紙。でも読んでほっこり」と書かれていた。
一体どんな内容なのか?
投稿にあったのは、新潟県長岡市の精肉店。中身は店の臨時休業を知らせる貼り紙だった。
「3月26日は一人娘の卒園式に両親で参列したくお店をお休みさせていただきます。保育園に通い始めて約6年。1度も行事に参加したことがなく、娘たっての希望を叶えてやりたくワガママすみません…」

切実な思いを綴ったのは布施なつみさんだ。夫で店主の拓也さんと肉団子やフライなどのお総菜が自慢の『いろは肉店』を営んでいる。
お客がひっきりなしに訪れる人気店で、週2日の定休日以外に店を休んだことは一度もなかった。
「気づけば6年経ってしまって、僕は一回も行事には参加できずに卒園式を迎える」と話す拓也さん。
娘・春々音ちゃんの保育園の行事には、これまでなつみさんだけが参加していたという。

なつみさんは「毎回『パパはいる?』と聞いてくれるが『パパお仕事だからね』と言うと『そっか…』と。『ママが来てくれるから頑張るね』と言っていた」と明かす。
一日2000個近い肉団子を仕込み、学校給食も作っているため一日中厨房に立っているという拓也さん。
「子どもとの時間っていうのは、あまり取れていない自覚があって、家族の時間も大事にしたい気持ちがある」
そこで今回、店を休み、初めて両親そろって娘の晴れ姿を見に行くことになったのだ。
買い物客からは「私たちもお祝いしたいくらい。ちゃんとお休みして行ってください!大丈夫、まとめて買うから」と温かい言葉が聞かれた。
■3人揃って“卒園式”へ!思い出に残る特別な一日に

常連客の後押しを受け、迎えた卒園式当日…久しぶりの3人そろっての朝ご飯に恥ずかしがりながらも嬉しそうな春々音ちゃん。
拓也さんはこの日のために新調したというスーツに袖を通し、「普段スーツは着ないので、身が引き締まる思い」と笑みを浮かべた。
保育園に向かう途中、笑顔があふれる3人。家族揃って撮る写真一枚一枚が布施家にとって特別なものだ。
そして…「6年間保育園に通ったお友達、布施春々音さん」「はい!」
生後4カ月から保育園に通う春々音ちゃんは、保育期間が最も長かったため、一番初めに保育証書を受け取った。
堂々と証書を受け取った娘の姿に両親の表情もほころぶ。

娘の6年間の集大成を見て、大きな成長を感じる卒園式となったようだ。
卒園式を終えて、拓也さんは「間近に成長した姿を見られてこれから先長いと思うが、ひとつの節目に立ち会えて良かった」と話し、なつみさんは「とにかく元気で笑顔で明るい子に育ってほしい。このまま育ってほしい」と笑顔を見せた。
両親と一緒に卒園を迎えられた春々音ちゃん。
お店の臨時休業日は、家族3人にとって思い出に残る特別な一日となったようだ。
(NST新潟総合テレビ)
最終更新日:Fri, 28 Mar 2025 22:00:00 +0900