
人慣れした“新世代クマ”について。新潟県南魚沼市で5月15日、60代の男性がクマに襲われケガをしました。今年度、県内でのクマによる人身被害は初めてで、県は『クマ出没警戒注意報』を発表しています。冬眠から目覚めたクマがエサなどを求めて活発に行動し始める今の時期の注意点などを専門家に聞きました。
■冬眠明けのクマ エサを求めて行動活発に…
【長岡技術科学大学 山本麻希 准教授】
「夏は山にあるクマのエサが比較的少なくなっている。この時期、クマは行動を減らしてエサのない時期をしのぐか、もっといいエサがある集落に降りていって食べるかを自分で選択してしまう」
長岡技術科学大学の山本麻希准教授が注意を呼びかけるのは、この時期、エサを求めて行動が活発になるクマについてです。
【長岡技術科学大学 山本麻希 准教授】
「この時期は、最初にクマが集落近くに降りてくるというシーズン。クマの目撃が増えてくる時期」
県によりますと、4月のクマの出没件数は27件だったのに対し、5月は15日までで、すでに47件と増加しています。
さらに、南魚沼市では15日午後2時半すぎ、工事現場の下見に行った60代の男性がクマに襲われ顔や脇をケガ。命に別条はありませんが、今年度県内で初めてのクマによる人身被害となりました。
【近くに住む人】
「おそろしい。(クマが)いるか、いないか見渡しながら農作業をしている」
■人里近くで暮らす“新世代クマ”が増加
今回の人身被害で山本准教授は被害が発生した時間帯について、これまでと違う傾向があると言います。
【長岡技術科学大学 山本麻希 准教授】
「(Q.昼間は一つポイントになる?)本来、クマは人に見つかるのが怖いので、だいたい夜に集落付近まで来ることが多いが、昼間に集落に出てしまうようなクマだとしたら、人間のことをよく分かっているクマなのかなと思う」
15日に被害のあった地域では、人に慣れているクマが生息していると地元の猟友会も話します。
【地元の猟友会】
「この辺に住み着いている。ああいうクマは何頭もいる」
こうした人里近くで暮らすクマは増加傾向で、山本准教授も警鐘を鳴らします。
【長岡技術科学大学 山本麻希 准教授】
「ここ数年間、よく“新世代クマ”と言われる。クマは母親が子どもを育てるので、生まれたころから母親と人里近くで生きてきたクマはどんどん人里を学習して、人里に住むのが当たり前になる。そういうクマが増えているとは思う」
気温も上がり、山に入る人も増える中、音の鳴る物やクマスプレーを携行すること、単独行動を避けること、作業中はこまめに周囲を確認するなど注意が必要です。
【長岡技術科学大学 山本麻希 准教授】
「最近は熊鈴を鳴らしてもクマがよけてくれないと言う方がいるが、音が鳴っていれば近づかないというクマが絶対数は多いので、音を出したほうがいい」
また、万が一クマと遭遇してしまった場合は、走って逃げることなく防御姿勢をとって、後頭部や顔・内蔵を守ることが重要です。
山本准教授によりますと、エサの少ない状態は7月まで続く見込みで、県も5月15日から2カ月間をクマ出没警戒強化期間として、警戒を強化しています。
山菜採りのシーズンですが、山に入る際には十分注意してください。
最終更新日:Fri, 16 May 2025 18:56:13 +0900