
コメの価格高騰が続く中「コメを買ったことがない」と発言した江藤農水大臣。コメの安定供給に向けて努力を続けている県内の農家からも怒りの声が上がっています。
■「コメ買ったことがない」農水相の発言に首相が謝罪
【石破首相】
「コメの高騰に苦しむ消費者の方々にも、一生懸命コメを作っている生産者の方々に対しても、極めて申し訳ないものだった。大変に申し訳ありませんでした」
石破首相が謝罪することになったのは、佐賀県での5月18日の江藤拓農林水産大臣のこの発言。
【江藤拓 農水相】
「私はコメを買ったことがありません。支援者の方々がたくさんコメをくださる。まさに売るほどありますよ」
コメの高止まりが続く中での発言に批判が噴出。
【江藤拓 農水相】
「なかなか会場も盛り上がっていたので、ちょっとウケを狙って強めに言ったが、売るほどはない」
最終的には発言の撤回に追い込まれました。
19日、農水省が発表した5月5日~11日に全国のスーパーで販売されたコメ5kgあたりの平均価格は前の週より54円高い“4268円”となり、2週ぶりに値上がり。去年の同じ時期の約2倍で高値水準が続いています。
■コメの安定供給へ努力続ける生産現場
こうした状況の中でも、なんとかコメの安定供給を図ろうと努力しているのがコメの生産現場です。
【記者リポート】
「燕市にあるこちらの田んぼでは、現在“新大コシヒカリ”の種まきの作業が行われています。会場には多くの農業関係者が詰めかけていて、その注目度の高さがうかがえます」
燕市次新地区の田んぼでは、新潟大学の研究グループが猛暑などの異常気象に対応できるコメを作ろうと、約20年かけ開発した新大コシヒカリの試験栽培が行われていました。
【新潟大学 三ツ井敏明 特任教授】
「新大コシヒカリは、コシヒカリそのものの遺伝子を持っているので、コシヒカリにそっくり。唯一、高温登熟性が“強”であるということで品種登録が認められている」
おととしの猛暑でコメの品質や収穫量が低下した燕市。高温に耐えられるコメには農業関係者も期待を寄せていました。
【農家】
「7月の後半から8月いっぱい、ずっと30℃近い気温が続いているが、それを今のコシヒカリでは対応できない。暑さ対策は急務」
【農家】
「新大コシヒカリと新之助も暑さに強いと言われているので、(生産して)供給が安定できれば」
さらに、高齢化や後継者不足などに悩む農業を救う一手になればと、田んぼに直接、種をまく“直まき”とよばれる作業にはドローンも活用。
【農家】
「自動運転、全部興味がある、これからこういう時代になると思う。ぜひ、こういう機械も入れてやりたい」
■大臣の発言に農家も怒り「あきれている」
日本の食を守るためにコメの安定供給へ研究者や生産者が努力を続ける中での大臣の発言に国会でも批判が相次ぎました。
【立憲民主党 田名部匡代 参院議員】
「ウケ狙いって、全然おもしろくないですよね」
【日本維新の会 松野明美 参院議員】
「大臣はこんなに大事になることではなかったと思っていると思う。ただ、この言葉は非常に国民を裏切る言葉となっている」
もちろん農家からも批判の声があがります。
【アグリシップ 佐藤広幸 代表】
「あきれている。もう少ししっかりした人に大臣をやってもらって、農業を盛り上げてもらいたい」
【農家】
「おかしい、早く交代させるべき」
ただ、石破首相は大臣の続投を明言。コメの価格高騰に消費者・そして生産者が翻弄される中、果たして江藤大臣に効果的な対策が打てるのか…。
【江藤拓 農水相】
「私自身が備蓄米の放出を決めた本人でもありますので、お許しをいただいて、最後まで私が責任を取るところまでやらせていただきたい」
信頼を回復するにはコメの価格の安定が求められます。
最終更新日:Tue, 20 May 2025 19:03:09 +0900