液状化の地域…費用抑えられる“地下水位低下工法”は可能?新潟大学が地盤調査を住民に報告「検討必要な場所ある」

能登半島地震で液状化被害のあった新潟市江南区。去年秋に地盤調査を行った新潟大学が6月12日、住民に調査結果を報告。住民が希望する“地下水位低下工法”の実現の可能性に言及しました。
NST新潟総合テレビ

能登半島地震で液状化被害のあった新潟市江南区。去年秋に地盤調査を行った新潟大学が6月12日、住民に調査結果を報告。住民が希望する“地下水位低下工法”の実現の可能性に言及しました。

去年11月、新潟市江南区天野地区で地盤調査を行った新潟大学。

江南区天野3丁目の天野中前川原自治会などは、街区ごとの面的な地盤改良を行うことを新潟市に要望しています。

そして6月12日、新潟大学の卜部教授が「住民同意など今後の対応に役立ててほしい」と調査結果を住民に報告しました。

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「(Q.どんな方向の報告があることを期待?)やるのであれば、地下水位低下工法でないと。この地区では経費的な問題で難しいことが出てくる。地下水位低下工法が希望」

高齢の住民が多い天野地区。自治会長の増田さんは、多額の費用がかかる“格子状地中壁工法”ではなく、地下水位を下げることで液状化を抑制する“地下水位低下工法”での工事を希望していますが、新潟大学の卜部教授は…

【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「この地区は『地下水位低下工法でいける』という話ではなく、少し検討しなくてはいけない場所があるということが本当のデータ」

こちらは新潟大学が調査した江南区天野地区の7つの地点の地層。

液状化しにくい状態にするには、地下水位を地表から3mほどまで下げる必要がありますが、この地点で地下水位を3m下げると、地下水の上下に水を吸収しやすい泥の層が。この泥の層が地下水を吸うことで地層が縮み、地盤沈下を起こす恐れがあるといいます。

【新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「(地下水位低下工法は)ちょっと難しいとなったときに、そのフォローアップすることも考えて、進めるほうとできないほう、両方の作戦を進めなくてはいけないのがこれからの課題」

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「少しでも可能な地域があるという話を伺っただけでも、私としてはホッとした。残念ながらできない場所もあるようだが、何とか少しずつ前が開けてきたのかなという気持ち」

一方、新潟市はこれまで西区と江南区で行った地盤調査の解析結果を基に、8月に住民に対し可能な工事方法を提示する方針です。

最終更新日:Fri, 13 Jun 2025 05:00:00 +0900