12月5日未明、ユネスコが日本の伝統的酒造りについて無形文化遺産への登録を決定しました。日本有数の酒どころである新潟県内では、関係者から喜びや期待の声が上がっています。
■“伝統的酒造り”無形文化遺産登録!酒どころ・新潟からも喜びの声
12月5日未明、南米のパラグアイで開かれたユネスコの政府間委員会で、日本の“伝統的酒造り”の無形文化遺産への登録が決定しました。
杜氏や蔵人などがこうじ菌を用いて日本酒や焼酎などを製造する“伝統的酒造り”。
その技術は日本各地の気候風土に合わせるとともに、経験に基づいて築き上げ、代々受け継がれてきました。
【日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会 小西新右衛門 会長】
「技の伝承ということを軸にしながら、日本の良さを世界の方にもっと知っていただく。そういう努力を今後とも、引き続き、やらせていただきたい」
全国で最も多くの酒蔵を持つ県内からも喜びの声が上がっています。
【笹祝酒造 笹口亮介 社長】
「うれしい。“日本酒の街・新潟”というふうに有名になれればいいんじゃないかと思う」
5日も酒の仕込みが行われていた新潟市西蒲区の酒蔵。
酒造りへの理解を深めてもらおうと、普段からこうじを使ったワークショップなどを行っていて、今回、日本酒だけでなく、伝統的な技術としてこうじが注目されたことに期待を寄せています。
【笹祝酒造 笹口亮介 社長】
「これから日本酒蔵として、こうじを武器に色んなものを考えていきたいと思っているので、あらためて登録を契機に、こうじとは何だろうと考えてもらって、実際に関わるチャンスを僕たちがつくれたらいいかなと思う」
■外国人注目の“酒造り” 担い手不足も…無形文化遺産登録を追い風に!
また、新潟市中央区では…
【記者リポート】
「こちらの酒蔵では、シンガポールや香港から来た観光客が熱心に日本酒の造り方について耳を傾けています」
行われていたのは、外国人観光客に向けた酒蔵見学です。
【今代司酒造 岡田龍 社長(酒蔵見学)】
「最初に、デンプンから糖の一種であるグルコースになる。次に、グルコースからアルコールになる過程があり、このこうじは最初のステップとして機能する。基本的にここで行うことは、蒸したお米の上に、こうじの粉を振りかけること」
こちらの酒蔵では、8年前から外国人向けの酒蔵見学を行っていて、今では年間5000人以上が参加するといいます。
【今代司酒造 岡田龍 社長】
「古い日本的な建物とか、昔ながらのやり方でやっているというところは(外国人観光客から)非常に評価していただいているかなと」
一方、業界では造り手などの担い手不足が課題となっていて、今回の登録が技術の伝承に向けた追い風にもなってほしいと話します。
【今代司酒造 岡田龍 社長】
「“伝統的酒造り”ということで、それをしっかり現代の我々が担って、次の世代に引き継いでいく責任というのを強く感じているところ。新潟という場所で、新潟の風土を生かして、新潟の人間が酒造りをしている、そういったところも含めて体感して知っていただければ」