
中国の輸入停止で億単位の損失が出ている新潟県佐渡市のナマコ業者。海洋放出により事業の継続が危ぶまれましたが、「ナマコで地域を盛り上げられれば」と努力の日々を続けています。
【浦島三和 須藤由彦 社長】
「まさか、こんなに遠くにいる佐渡の人たちがこういうことになるとは夢にも思わなかった」
夢にも思わなかった出来事。それは東京電力による福島第一原発の処理水の海洋放出に伴う影響です。
おととし8月の海洋放出後、中国が日本の水産物の輸入を停止。中国向けにナマコを養殖していた企業は…
【浦島三和 須藤由彦 社長】
「中国の市場というのは、どうしてもなくては困る市場」
このとき、中国への輸出の道が閉ざされ、中国から来ていた養殖の技術者も帰国するなど大きな被害を受けていました。
東京電力は佐渡市でおととし12月、損失に対する賠償についての説明会を開き、ナマコの養殖を行う企業の影響も調査していたと言いますが、去年10月、補償に対する回答が届いたと言います。
【浦島三和 須藤由彦 社長】
「東電は処理水を流したのとは因果関係がないと。東電からの補償は一切ない」
中国の輸出停止による損失は億単位にのぼりますが、処理水放出との因果関係は認められないとして補償を受けられず。
ただ、こうした状況にあっても「前に進めるしかない」と、2月27日には養殖してきた稚ナマコを佐渡市の漁港に放流。
【浦島三和 須藤由彦 社長】
「雪が降ったみたいにナマコが降ってくる私も水中の映像を見て感動した」
中国向けの輸出再開、そして世界文化遺産に登録された佐渡島の金山を見に訪れる中国人観光客の需要などを見込んで地域と連携しながらナマコの供給体制を構築していく考えです。
【浦島三和 須藤由彦 社長】
「安定供給できるということを目標にしている」
海洋放出により危ぶまれた事業の継続。
東京電力による補償もない中、それでも「ナマコで地域を盛り上げられれば」と努力の日々が続いています。
最終更新日:Wed, 05 Mar 2025 19:55:43 +0900