
東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案が4月18日、県議会で採決され、自民党などの反対多数で否決されました。今後、県民の意思はどのように確認されるのか、いまだその明確な方法は示されていません。
■“県民投票”求め約14万3000人分の署名提出
4月18日も多くの傍聴人が詰めかけた県議会。柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案は採決の日を迎えました。
条例案をめぐっては3月、県民投票実施を求める市民団体が約14万3000人分の署名を提出し、条例制定を直接請求。
花角知事は臨時会初日に「賛成・反対の二者択一の選択肢では、県民の多様な意見を把握できない」などと課題を指摘する意見を付けて条例案を議会に提出していました。
■傍聴席からやじ飛び交う中…委員会採決は“否決”
2日間の審議を経て迎えた特別委員会での採決を前に、まず各会派がそれぞれの賛否を表明します。
【自民党 笠原義宗 県議】
「知事意見の指摘のとおり、再稼働の是非について賛成または反対の二者択一の選択肢では県民の多様な意見を把握できない」
最大会派自民党が「二者択一では多様な意見を把握できない」ことなどを理由に反対意見を述べると…
【傍聴人】
「責任持てないじゃないかよ、自民党!」
【議員】
「退場させろ!」
【委員長】
「傍聴人に申し上げます。静粛に。委員長の注意に従わない場合、退場を命じます」
その後も傍聴席からやじが飛び交う異様な雰囲気の中、採決に。委員会採決は自民党などの反対多数で否決されました。
■市民団体の思い届かず…本会議採決でも“否決”
その後、午後に開かれた本会議では、賛成の立場の未来にいがたとリベラル新潟が知事意見で不備が指摘されていた開票事務に関する文言などを直した修正案を共同提出。
【未来にいがた 大渕健 代表】
「知事が考えを明らかにしない以上、直接請求により県民投票の実施を求める声はもっともであり、妥当と考える」
【リベラル新潟 小泉勝 幹事長】
「県民投票は主権者たる県民の意思を確認し、尊重する上で欠かせない仕組み」
そして、本会議でも採決を迎えますが、修正案・原案ともに賛成16人・反対36人で特別委員会と同様に否決。
同様の条例案が否決された2013年の前回審議に続き、県民投票実施を求める市民団体の思いは届きませんでした。
【市民団体事務局 吉田裕史さん】
「14万3196名もの県民の切実な願いが実を結ばず、181万人の有権者の原発再稼働に関する意思表示の機会が奪われ、その思いを明らかにするための有効な方策も示されなかったことは大変残念」
一方、東京電力は「定められたプロセスを経て決定されたもので、コメントする立場にない。引き続き、発電所の安全性向上に取り組む」とコメントしています。
■“県民の意思”確認する方法は…
では、原発再稼働問題をめぐり、果たして今後の議論はどのように進むのでしょうか?
【自民党県連 岩村良一 幹事長】
「(Q.知事が県民の意思の確認方法を明言しなかった)知事に聞いてください」
【未来にいがた 大渕健 代表】
「県民投票や出直し選挙を行うのが筋ではないかということはしっかりと問うていきたい」
その花角知事は…
【花角知事】
「(Q.否決の所感は?)特にありません」
市町村長との意見交換や公聴会などを通し、県民の意見を聞き、自らの結論を出した上で「県民の意思を確認する」と繰り返す一方、いまだその方法について明らかにしません。
ただ、今回署名として集まった14万3000人分の思いは、決してないがしろにできるものではありません。
【花角知事】
「(Q.14万人分の思いは今後のプロセスでどう生かされる?)県民の関心が高まってきているということ。しっかり丁寧に議論を進めて、どこかの段階で判断し、結論を出したい」